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新・日本型経営に向け、変えるものと変えないもの

XEED 波頭亮氏

 前回の『連続する環境変化に弱い日本企業、克服の必要条件とは』で述べたように、かつて日本的経営の三種の神器の1つであった「年功序列」は、いまや日本企業の環境変化への対応力を鈍らせる原因となっている。「新・日本型経営」を考えるうえでは、年功序列を廃し、それに代わる人事運用制度を構築・運用していくことが必要となる。

 そこで目指すべき、新しい人事制度による組織運営の核心をなすのは、「丁寧な能力主義」である。

成果主義型の人事制度に対する反省

 90年代に年功序列制度が新しい時代環境に合わなくなってきたことを感じた多くの日本企業が年功序列に代えて導入しようとしたのは「成果主義型人事制度」であった。本来、組織が有効に機能し、健全に運営されるために、誰をどのポジションに就け、誰を先に昇進させるかを決めるための判断材料として最も合理的なのは、その人材が有している"能力"だ。

 しかし、企業で働き、活躍してもらうために求められる人材の能力とは、いかにも多様で、またあいまいである。実際に、AさんとBさんのどちらが能力的に上か下かを決めようとすると、その判断材料としてある程度定量的評価ができる指標が必要になる。そこで能力は仕事の成果に表れるはずであるという考えに基づいて、成果主義型人事制度が試された。

 その結果は、ご承知の通り、うまくはいかなかった。仕事の成果は、その人材が生み出した企業への貢献を表したものであるという意味において報酬の判断材料とするにはある程度の合理性を持つ。とはいえ、定型的、限定的な評価指標によって多様であいまいな人材の能力を総合的かつ公正に測定・評価することに、もともと無理があったのである。

 そればかりか、多くの報酬を得るため、あるいは早く昇進したいがために、評価指標だけを最大化するような小賢しい振る舞いをする社員が横行したり、逆に縁の下で皆のために地ならしをするような人材が正当に報われなかったりと、日本企業の本来の強みに反するようなことが多発したのである。

定型的な指標にこだわらず、日本的な強みを伸ばすように総合評価

 では、具体的にはどのような能力をどのように測定する制度とすべきなのか。

 新しい能力主義の制度を描くためには発想の転換が必要である。これまでの評価制度のように、定型的な評価項目のフォーマットと点数化するための方程式で評価するのではなく、一人ひとりの人材を丁寧に見るのである。何を見るのかというと、日常の仕事の取り組み姿勢、スキル習得の度合い、成長のスピード、チームメンバーへの配慮、判断と意思決定の的確さ、行動力、決断力、交渉力、発想力・・・など、無限に存在する。こうした多様な人材能力要件について総合的に、しかもできれば半年単位、一年単位だけでなく、数年単位で継続的に、丁寧に見るというやり方である。

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