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ソフト業界に新陳代謝もたらす"起業のインフラ"

ITジャーナリスト 田中克己氏

じり貧のソフト開発業界に対して構造変革を訴え続けてきたITジャーナリストの田中克己氏は、IT業界での起業を後押ししてくれる「クラウド」が、業界活性化の起点となるインフラだと語る。このインフラは様々な起業家を呼び寄せ、業界の新陳代謝を促す原動力になり得るという。(日経BizGate)

80年代成長期の創業者たちが引退する時期に

――インタビューの前半では、受託ソフト開発の業界にある「多重下請け構造」が静かに崩れ始めていて、その土台を支える中堅・中小のITベンダーが岐路に立たされているという話をうかがった。その一方で、新しいビジネスモデルのITベンチャーも色々登場しているそうだが。

<b>田中 克己(たなか かつみ)</b><br>

 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事。30年にわたりIT産業の動向をウォッチし、現在はITpro「針路IT」などを連載中。主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(ともに日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)がある。 田中 克己(たなか かつみ)
 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事。30年にわたりIT産業の動向をウォッチし、現在はITpro「針路IT」などを連載中。主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(ともに日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)がある。

 この業界は、ちょうど「新陳代謝」が始まる時期なのだと考えている。IT業界が急成長を始めたのは1980年代後半からで、その前後に設立されたITベンダーの創業者は引退の時期に来ているからだ。

 しかし、株式公開した会社は別として、中小のITベンダーでは「後継者がいない」という話をよく耳にする。残念な話なのだが、創業者が息子に会社を継がせようと思っても、発展性や将来性を理由に断られてしまい、仕方がないから創業者が持っている株式を従業員の持ち株会に譲った、といった例をいくつか知っている。

 結果として、「ウチの会社を買ってほしい」というM&Aが増えてきているようだ。後継者がいなければ、そうせざるを得ないのかもしれない。ともあれ、従来と同じ受託ソフト開発を続ける「古い会社」の数は減り続けていくのだろう。

 その代わりというわけではないが、新興ITベンダーなどの「新しい会社」が色々出てきている。私は、大手ベンダーが業界の頂点から中堅・中小ベンダーをけん引していく時代はもう終わったと思っていて、これからは新しい会社の中から「新しいけん引役」が育っていってほしいと期待している。実際、新興ITベンダーの経営者の顔ぶれを見るだけも結構面白くて、業界の変化を十分に感じられる。

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