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「リッチ」「モザイク」「イスラム教」~中東消費財マーケットを読み解く3つのキーワード

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 公共経営コンサルティング部 主任コンサルタント
霜越 直哉 氏

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 公共経営コンサルティング部 主任コンサルタント 霜越 直哉 氏 野村総合研究所 コンサルティング事業本部 公共経営コンサルティング部 主任コンサルタント 霜越 直哉 氏
 本連載ではこれまで、中東市場を概観したうえで、エントリー市場としてのUAE(アラブ首長国連邦)、コア市場としてのサウジアラビアに焦点を当て、それぞれの魅力やビジネスチャンスについて解説してきた。その中で、例えば第1回ではUAEで次々と出店する洋菓子メーカーのヨックモック、第3回ではサウジアラビアに進出したシュークリーム店「ビアードパパ」を展開する麦の穂インターナショナルなど、日本の消費財企業の活躍事例を紹介してきた。最終回となる今回は、「リッチ」「モザイク」「イスラム教」という3つのキーワードを軸に、改めて中東の消費財市場の特徴を整理したい。

リッチ:UAE国民の大卒初任給は日本の倍以上

 中東産油国は富裕層が多いということは第1回で紹介した。まずはこの点について改めて確認しよう。次の表は、湾岸協力会議(GCC;Gulf Cooperation Council)加盟6カ国(UAE、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン)と、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア)の国内総生産(GDP)、人口などを比較したものである。

GCC諸国とASEAN主要国の比較(2012年時点) (注)1.GDPと可処分所得は全て名目値。/2.富裕層は世帯年間可処分所得3万5000ドル超と定義。また、世帯可処分所得は、データがないオマーンを除いて算出している。<br />

(出所)IMF“World Economic Outlook Database, October 2013”、世界銀行“World Development Indicators”、Euromonitor International (注)1.GDPと可処分所得は全て名目値。/2.富裕層は世帯年間可処分所得3万5000ドル超と定義。また、世帯可処分所得は、データがないオマーンを除いて算出している。
(出所)IMF“World Economic Outlook Database, October 2013”、世界銀行“World Development Indicators”、Euromonitor International

 この表によると、名目GDPと人口はASEAN主要国の方が大きく、特に人口は10倍の差が開いている。一方で富裕世帯数はほぼ同数になっており、富裕層比率はGCCの方が圧倒的に高い。実に過半数の世帯は、年間可処分所得が3万5000ドルを超えており、巨大な富裕層マーケットが形成されていることが分かる。

 また日本貿易振興機構(JETRO)によると、UAEにおける自国民の大卒平均初任給は、アブダビで月60万円~76万円、ドバイで月38万円~53万円となっている(2011年時点、当時の年平均為替レートで換算)。「UAE国民の大卒初任給は年1000万円」と噂されるのもうなずける水準である。日本の大卒初任給は平均で月20万円前後であるから、少なく見積もっても2倍以上の賃金を受け取っていることになる。

 GCCは新興国としては物価が高いものの、日本と比較するとまだ低い。加えて各国とも社会保障が手厚く、公共料金も安く設定されており、国民の可処分所得は極めて高いと考えられる。

 弊社は複数の消費財企業から、富裕層向けに特化したビジネスをできないかという相談を受けたことがある。人口自体はそれほど多くないものの、富裕層が一定数存在することから、マス相手に売り上げを追求するのではなく、一部の富裕層向けに利益を追求するビジネスができないか、という内容であった。中東はGDPや人口など規模の面から見ると比較的小さいが、事業目的の設定の仕方次第では十分に魅力的なマーケットと見ることができるだろう。

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