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サステナビリティへの取り組みを加速する米企業

FBCサステナブルソリューションズ代表 田中めぐみ氏

 投資家や非営利団体、消費者からの要請が強いこともあり、米国の大手企業の多くは基本的な環境・社会問題対策、例えば、自社の温室効果ガス排出量、エネルギー・水使用量、廃棄物量の数値化と削減努力、生産拠点での労働基準の順守や生産・販売地域の発展支援などは既に着手・対応しており、次はどうするのかという段階に入ってきています。持続可能な社会を実現するための"次"のステップとして米企業は何を試みているのか、そしてそれを支える制度基盤はどうなっているのか、最新事例を交えながら紹介したいと思います。 

競合から協調へ~業界や国境を越え拡大

 "次"を模索する動きの一つとして、他社や業界全体との協業が挙げられます。

 この分野で先進的な取り組みを行っているのは、アパレル・フットウエア業界です。

 世界最大の小売企業ウォルマート・ストアーズとアウトドア・アパレルのパタゴニアが競合他社に呼びかけ、2011年、サプライチェーン全体を通し環境・社会負荷削減を目指す業界団体「サステナブル・アパレル連合」が設立されました。ナイキやアウトドア産業協会などが独自に開発した評価ツールを惜しみなく提供し、これを活用して、製品ライフサイクル全体の環境・社会負荷を測定・評価するウェブベースのツール「ヒグ・インデックス」を作成。会員・非会員を問わず、企業に無償提供しています。

 同連合は、小売り、ブランド、素材メーカー、製造業者のサプライチェーン全体にわたる企業群に加え、非営利団体、大学、環境保護庁など様々な利害関係者から構成され、会員数は現在100を超えています。米企業だけでなく、ファストファッションのH&M、グッチやバレンシアガを傘下に持つラグジュアリーコングロマリットのケリング、インドや中国の製造業者と、業種の垣根を越えて世界各国から様々な企業が自主参画しており、参加企業だけで世界の衣類・フットウエア生産量の三分の一を占めています。小売りやアパレルからの要請ではなく、製造業者が自ら問題意識を持ち、対等なパートナーシップとして参加していることが、この取り組みの最大の効果とされています。

 同連合の発起人ウォルマートは、競合である全米2位のディスカウントストア、ターゲットと共に、化粧品・トイレタリー業界でも持続可能性の向上に取り組んでいます。

 9月に共同開催された「ビューティ・パーソナルケア製品サステナビリティ・サミット」では、大手化粧品・トイレタリメーカー、自然派ブランド、化学メーカー、他小売企業、環境団体などの利害関係者を招き、製品原料の透明性に関して、問題点の共有と解決策に向けた話し合いが行われました。

 両社は各々、原料に関する独自の基準を作成しています。しかし、化学物質の組成などを企業秘密として開示しないメーカーがある一方で、政府規制が未整備の化学物質に関して、安全性を懸念する消費者の声が高まっていることから、業界全体の統一した安全性基準の策定が求められていました。今後、会合で出された意見を基に、問題解決に向けて協議が進められる予定です。

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