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ビジネス視線で読み解くITの価値

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IT部門の主導権を奪う新時代が到来

経営層に求められる3つの課題

ガートナー ジャパン 山野井聡氏

 当コラムでは、昨年の7月から、注目されるITのキーワードを俎上に載せて、その裏にあるITのビジネス価値について、経営者や利用部門の読者向けにご紹介してきた。今回がその最終回である。最後は、これまで述べてきた諸々のトレンドも振り返りつつ、最新のサーベイ結果をもとに、日本企業のリーダーがこれから臨むべき、ITの達成課題(アジェンダ)を総括してみたい。

企業ITは「第三の時代」に突入する

 ガートナーでは毎年、企業のIT組織を統括する経営職(チーフ・インフォメーション・オフィサー、以下CIO)を対象に、世界規模のサーベイを実施している。このサーベイの目的は、ビジネスの優先課題とそれを達成するIT戦略を包括的に展望することにある。最新の調査は、世界77カ国、2,339人のCIOを対象に、2013年の冬に実施した。回答者には、日本企業のCIO職も84名含まれている。

 我々の生活や社会に、新たなデジタル化の波が押し寄せている。企業のITシステムに対しても同様である。これをガートナーではエンタープライズITの「第三の時代」と呼んでいる。サーベイの結果は、世界のCIOの多くが、この変化に乗り遅れる焦燥感を示している。回答者の51%は、デジタル化の波の速さに対応できないと不安を感じ、42%がデジタル化の未来に立ち向かうために必要な人材が足りていないと感じている。

 「第三の時代」は、ビッグデータ、ソーシャルネットワーク、モバイル、クラウド、モノのインターネット、3Dプリンターやスマートマシンなどの先進テクノロジーが渾然と混ざり合う世界だ。これらのテクノロジーは使い方によって、新しいビジネスや顧客体験や競争優位を創出する可能性を秘めている。CIOはその先導役を担う自覚を持ちながらも、具体的な実現に苦慮している。

 ちなみに、エンタープライズITの「第一の時代」は、ITがまだ電算機と呼ばれていた頃から始まる、「業務の自動化」の時代だった。経営者はITによって業務のスピードとスケールを飛躍的に高めることができた。続く「第二の時代」は「ITプロセスの工業化」が特徴で、ここ10年間が該当する。この時代は、ITシステムの設計・開発や運用のプロセスをより標準的で管理可能にした。ITシステムの安定性・信頼性を高める上で、「ITガバナンス」という表現が用いられるようになったのもこの時期だ。「第二の時代」はもっぱら、社内の情報やプロセスの改善に目を向けられていた。

 しかし、これからの「第三の時代」では、社外の多様な事象をどうビジネスに直結させるかが問われる。このサーベイを担当した英国のアナリストは、「2014年は、ちょうどこの2つの時代の橋渡しの時期にあたる」と指摘する。

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