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見直し進むメコンデルタ経済圏~2.5億人商圏のポテンシャルと競争優位性

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コンサルティング・国際事業本部 国際本部 グローバルコンサルティング部 チーフコンサルタント 池上 一希氏 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コンサルティング・国際事業本部 国際本部 グローバルコンサルティング部 チーフコンサルタント 池上 一希氏
 急速に進む物流網の整備に伴い、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中核国であるベトナムとタイ、その中間のラオス、カンボジアの結びつきが強まっている。これに経済開放により開かれつつあるミャンマーが加わり、1つの巨大経済圏が形成されつつある。このエリアにおいて、日本企業も従来の国単位の「点」のオペレーションから、メコンエリアとしての「面」を意識した展開を積極的に進めている。グローバル製造業の生産拠点再編の舞台として、また、2.5億人の有望商圏として、重要性を増しているメコン経済圏の戦略上の位置づけと、参入のポイントについて紹介する。

インフラ整備と先行国のコスト増背景に見直し機運高まる

 近年、メコンという言葉を頻繁に耳にするようになりました。メコン経済圏はベトナム、タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーの5カ国から構成されますが、近年注目を集めている背景としては、「インフラ整備の進展」「ASEAN先行国のコスト増」の2点が挙げられます。

 1つ目のインフラ整備ですが、メコンを横断する2つの回廊、東西経済回廊と南部経済回廊を中心とした物流網と、周辺の工業団地の整備が挙げられます。

 東西回廊はミャンマーのモーラミャインからはじまり、タイ、ラオスのサワナケットを抜けて、ベトナムのダナンをつなぐ約1500kmのルートです。近年はラオスのサワン・セノ経済特区(SEZ)などの回廊沿いの工業団地の整備も進み、投資を検討する企業には追い風となっています。労働集約型の製造業を中心に、中国華南地区やタイで活動していた企業が、顧客の価格要求に応じてラオスにシフトするパターンが増加しています。その多くは、中国やタイから部材を調達し、ラオスで組み立てた後、また本国に戻しグローバル市場に輸出しており、東西回廊がサプライチェーン上の要として有効活用されています。

 もう1つの重要なインフラ、南部経済回廊は2015年以降、より日本企業にとり重要性を増すでしょう。同回廊はタイ・バンコクとカンボジア・プノンペン、ベトナム・ホーチミンを結んでいますが、現在ボトルネックとなっているカンボジアのメコン河の渡河は、混雑時には最大半日程度のフェリーの待ち時間が発生しています。2015年年央完成予定のネアックルン橋が完成すれば、輸送時間は大幅に短縮されます。すでに足元でカンボジアへの進出はタイ、ベトナム発のものが大半を占めます。橋の開通により、南部経済回廊に沿う形で、国境をまたいだ生産分業がより進展すると考えられます。

メコン経済圏の主要インフラと工業団地の分布 (出所)各種情報を基にMURC作成 (出所)各種情報を基にMURC作成

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