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協力:日経統合システム

言い訳できる「曖昧なゴール」は何も生まない

Nexal 上島千鶴氏

 マーケティングの世界に限った話ではないが、新しい経営概念や戦略がいろいろと現れ、流行する。それに合わせて、ITを駆使した支援ツールもたくさん登場するのだが、毎度のごとく「手段(ツール)」の話ばかりして、肝心の「ゴール(目的・目標)」の議論が薄っぺらいと感じる。

 例えば、マーケティング部門のゴールを設定する際に、海外の企業ではどのようにしているのか。海外企業のマーケティング責任者なら、役員会で次のようにプレゼンテーションするであろう。

 私たちマーケティング部門は、受注にX%以上の貢献、具体的にはXX億円の受注に貢献(コミット)します。それには、誰(具体的な顧客層)に対し、顧客にとっての適切なタイミング(どのような状態になるか)に合わせてコミュニケーションを図っていきます。具体的には(これこれの手段とスケジュールで)次のように実行に移します。よって、施策実行にはX億円の投資が必要ですが、その効果として毎年X%以上の回収を見込んでいます。

 具体的なプロモーションやキャンペーン単位の評価方法はXXで、(すべて受注貢献度合いから目標値を算出し)中間報告としてこのXXの数字を定期的に報告いたします。

 日本のマーケティング責任者の多くは、このような説明を聞いたら、のけぞるかもしれない。日本で、マーケティング本部長が具体的な目標数字を役員会で話している企業はまだ少ないはずだからだ。たいていは毎年慣例のイベントなど「手段の話」が先行し、「誰を対象に何を目標値として実行するのか」というゴールがきちんと設定されていない。

 目標値も売り上げに直結した数字ではなく、「何とでも言い訳できそうな中間的な数字」になっているのではないか。さらに、期末の評価においても、マーケティング部門が結果について責任を問われることはまれだろう。

 こういう「言い訳ができる曖昧なゴール」からはたいした成果が生まれないし、成果が全く出ないこともある。新しい経営概念や戦略がいろいろと現れるたびに「では、どうやるか」という手段の話になりやすいが、その前に踏むべきステップがいくつかある。

 本コラムのテーマであるデジタルマーケティングの世界では、この当たり前のことが特に見過ごされやすく、すぐにツールや手段の話になってしまいやすい。このことを念頭に置きつつ、最近話題の「マーケティングオートメーション」について誤解を解いていきたい。

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