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日本企業の競争力を奪った統治改革の失敗 経営はだれのものか

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イノベーションを潰す悪しき利益志向経営

加護野 忠男 氏

 会社統治制度の改革と並行して企業のなかで起こったことは、企業経営者の利益志向が強くなったことである。利益志向が悪いのではない。企業は、利益を真剣に考えることが必要である。不可欠ですらある。

 しかし、上手にやらないと、利益志向は会社を誤らせてしまう。利益を上げることではなく、よい経営をすることを目指すべきである。よい経営をすると、利益は後からついてくる。利益を追い求めていくと、利益は得られなくなる。すべてとはいわないが、いくつかの企業で、こうした悪しき利益志向経営ともいえる現象が起こった。それはいくつかの問題を生み出している。

 第一は、投資計画の承認に当たって利益を重視することから生じる問題である。一定の利益率をハードルにしてそれを超えたもののみを採択対象案件とするという方式の投資決定が行われると、考慮される投資案件が減ってしまうという現象である。

 最近の日本企業でこのような現象が起こっているのではないかと指摘しているのは、北野である(北野一著『デフレの真犯人 ―脱ROE〔株主資本利益率〕革命で甦る日本』講談社、2012年)。一部の企業で実際に起こっている可能性がある。とくにEVA(経済的付加価値)を評価基準として用いている企業では起こりうることである。

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