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意外と会社は合理的 ―組織にはびこる「理不尽」のメカニズム―

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巨大組織にみる緻密すぎる計画と局所最適化の弊害

レイ・フィスマン氏、ティム・サリバン氏

 第2次世界大戦での連合軍の歴史的な勝利といえば、「オーバーロード作戦」という暗号名のついた、1944年6月6日をDデイとするノルマンディー上陸作戦だろう。戦争に勝利するには英雄的行為が必要だが、まず英雄を生きて上陸させるために冷徹で合理的な計画が必要だ。

 軍事史の研究者であるステファン・アンブローズは、オーバーロード作戦を「果てしない計画作業」と表現する。ノルマンディー上陸を「史上最も複雑な軍事作戦」と呼んだウィンストン・チャーチルの言葉は今でも真実味を失わない。

 非常に入り組んだ、複雑に絡み合ういくつもの攻撃作戦の最高司令官は、ドワイト・アイゼンハワー元帥だった。作戦の目的は、連合軍が西ヨーロッパへの侵攻作戦を実施して戦争を終結させるため、ノルマンディーに足がかりを築くことだった。

 フランスの海岸を守ることの重要性を十分わかっていたドイツ軍の最高司令官エルヴィン・ロンメル元帥は、「大西洋の壁」の強化を命じた。数百万個もの機雷と地雷の設置、対戦車砲や機関銃を取りつけたコンクリート製の掩蓋(えんがい)陣地、複数の装甲戦車部隊の待機といった、とんでもない組み合わせだ。敵のパラシュート部隊を混乱させるため河川まで氾濫させた。

 こうした強力な防御を突破するため、アイゼンハワーは17万5000人の兵士とその装備を上陸させる準備をした。装備にはオートバイからブルドーザーまで、5万台の車両も含まれていた。ドイツ軍の防御を弱めるため、強襲上陸前に海と陸から爆撃し、その直後に海岸にも攻撃をかけることになっており、上陸と攻撃は1秒単位で計画された。

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