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社長が分からないでは済まない 「ビッグデータ×マーケティング」

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さらば、"丼勘定"のマーケティング

データに基づく施策でより大きな成果を

デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治 氏

 企業の経営に携わる皆さんは、広告・宣伝などのマーケティングに「効果があいまいな施策」が多いことを認識しているだろうか。あえて刺激的な言葉を使えば"丼勘定"になっている。もちろん、マーケティング担当者は「決して丼勘定ではありません」と主張するはずだ。自覚していないのだから嘘ではない。

 そういうときは、「これだけの広告費を使って十分な見返りがあったのか、それぞれの施策について皆が納得できるよう具体的に説明してください」と聞いてみてほしい。定量的・定性的な指標を用いて理路整然と説明できれば優秀な担当者だし、マーケティングの組織としても優れているに違いない。

 だが、このように答えられるのはおそらく少数派だろう。たいていは答えに窮するか、的外れの退屈な説明に終始する。あるいは、過去の経験・事例を引っ張り出し、確たる因果関係がないにもかかわらず、表面的な辻つまだけを合わせて広告費の正当性を自信たっぷりに訴えてくるかもしれない。

 そう、広告の効果を"具体的に"説明するのは非常に難しいのだ。そして、効果があいまいなものに企業は大金を投じている。冒頭であえて"丼勘定"と述べたのは、そういう意味である。

 この問題について、かつて米国の百貨店ビジネスで大成功したジョン・ワナメーカー(1838 - 1922年)が名言を残している。

「広告費の半分が金の無駄使いに終わっていることは分かっている。分からないのは、どっちの半分が無駄なのかだ」――。

 ワナメーカーの時代から1世紀が過ぎたが、マーケティングの世界ではこの言葉が語り継がれている。いまだに本質を言い当てていると信じられているからだ。

 とはいえ、ワナメーカーの名言が今、引用されることには意味がある。広告・マーケティング費のどこが無駄なのか、どうすれば最も成果を上げられるのか、という長年の課題に対して、解決の道筋が見えてきたからである。いわゆる「ビッグデータ」や「デジタルマーケティング」によって消費者の購買行動を詳細に把握できるようになり、マーケティング施策のそれぞれについて効果を検証できるようになったのだ。その具体策については別の機会に紹介したいと考えているが、ここでは「投資に値する重要な案件だ」とだけ言っておこう。

 すでに米国では、企業がアナリスト向けにデジタルマーケティングの戦略、投資内容、その成果について詳しく説明する時代になっている。それが経営の根幹に関わるものであり、株価に大きな影響を及ぼすのだから当然だろう。例えば米食品大手ケロッグのアナリスト説明会資料では、テレビや印刷媒体など伝統的なメディアへの消費者の接触時間が減る一方、パソコンやスマートデバイスへの接触時間が増加している状況を解説している。また、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアへの対応が必要不可欠になっていることも説明している。その上で、こうした状況に対応して、同社がキャンペーン手法を変化させていることが、マーケティング投資の効率化に寄与していると説明している。

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