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誰かに伝えたくなる、5つの口コミ起爆スイッチ

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 ところで、口コミコンテンツを企画するとき、しばしば企業の宣伝担当者は、広告代理店や制作会社に「過去に前例のない、斬新なことにチャレンジしたい」と要望する。しかし、いざ「過去に前例のないような企画」を持っていくと、「これはインパクトあるなぁ! でも、さすがにうちでは無理かなぁ・・・」となり、「これをもう少しXXXにしてみたらどうか」「このXXXは直球すぎるから、もうちょっとマイルドにできないか」と、「企画の方向性」だけ踏襲し、まったくトンガリのない、真ん丸な企画になっていくことがある。

 当然、口コミは発生せず、クライアントは失望することになる。「口コミマーケティングなんて嘘ばっかりだ」と。

 ここで言いたいのは、口コミマーケティングは、誰もが不快に思わない最大公約数的なメッセージから抜け出し、「消費者の琴線に触れ、感情を揺さぶるリスクへのチャレンジである」ということだ。そして、競争相手はライバル企業のコンテンツだけでなく、ウェブ上やYouTubeにも存在することを認識してほしい。数億・数十億のコンテンツを相手に、アテンション(あるいは共感)獲得競争で勝利する必要があるのだ。お金さえ払えば露出量が保証されているテレビCMや雑誌広告のような感覚で、ウェブ上の壮絶なアテンション争奪戦に参戦することだけはやめた方がいいだろう。

 国内のLINEユーザーは5000万人に迫り、TwitterやFacebookも約2000万人が利用しているといわれる現在、消費者の口コミパワーは人類史上、最大になっていると言えるだろう。あなたがマーケティング担当者なら、ぜひ消費者の琴線に触れ、爆発的な口コミを発生させるマーケティングにチャレンジしてみてほしい。

 そして広告や制作とは無縁のあなたも、口コミのメカニズムを知ることはとても大切なことだ。なぜなら、口コミのカギとなる感情の機微を知ることは、人間をより深く理解することと同じだからである。人はどんな物語やメッセージに驚いたり、興味を持ったり、共感したり、泣いたり笑ったりするのか。そのメカニズムを知り、効果的に活用できるようになれば、口コミされる商品の開発(商品開発)や、口コミされるニュースリリースの書き方(広報)など、様々な領域に応用できるだろう。口コミと関係なくても、相手に刺さる企画書や提案書の書き方にも生かせる。

 これから、あなたが思わず口コミしてしまったとき、どんなスイッチが押されたのか、意識するようにしてほしい。それが敏腕琴線スイッチャーへの一番の近道である。


池田 紀行 (いけだ のりゆき)

トライバルメディアハウス代表取締役社長。1973年横浜市生まれ。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、ネットマーケティング会社クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。キリンビール、P&G、トヨタ自動車などのソーシャルメディアマーケティングを支援する。『Facebookマーケティング戦略』『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』など著書多数。Twitter:@ikedanoriyuki、Facebook:http://www.facebook.com/ikedanoriyuki

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