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絆づくりのオウンドメディア論

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「伝える」から「伝わる」へ、優れたブランドのコミュニケーション理念

トライベック・ストラテジー 後藤洋氏

 先月の話である。ある報道番組でルイ・ヴィトンの特集を見た。パトリック・ルイ・ヴィトン5代目当主は、ルイ・ヴィトンが最も大事にしている経営理念についてこう語っていた。

「ルイ・ヴィトンにとってのブランドの源泉は、次の3つに集約される。それは品質、伝統、革新である」

 セリーヌ、フェンディ、タグ・ホイヤー、ブルガリ、モエ・エ・シャンドンといった世界に名だたる高級ブランドを60も持つ巨大グループ「モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)」。常に革新性を持ち、世界に支持され続けるルイ・ヴィトンを中心に、その勢いは止まることを知らない。

ルイ・ヴィトンのオウンドメディア ルイ・ヴィトンのオウンドメディア

 特にルイ・ヴィトンは、日本人の5人に1人が同社の商品を持っているといわれる巨大ブランドである。ハンドバッグの値段が10万円も、20万円もする高級ブランドだが、それでも一般の生活者を虜にしている理由は、先のパトリック・ルイ・ヴィトンの言葉が物語っている。「品質」「伝統」「革新」。この巨大ブランドを支える一貫した理念は、商品(=モノ)そのものに限ったことではない。

 このコラムでこれまでにも話してきたブランドエクスペリエンス(=コト)、つまり「生活者がルイ・ヴィトンに憧れ、手に入れ、そして手にした後も含めた一連のコンタクトポイントで得られる経験」にも一貫した理念が息づいているのである。コンタクトポイントとは生活者と企業の接点を指すが、それには広告、店舗、アフターコミュニケーションなど、様々なものがある。今回は特に、インターネット上におけるオウンドメディアに注目し、世界の優良ブランドを見ていきたい。

 上記の画面は、インターネット上にあるルイ・ヴィトンのオウンドメディアである。ぜひアクセスしてその世界観を体験してほしい(サイトへのアクセスはこちら)。決して使いやすいインターフェースとは言えないが、そこには確かに「ほかにはない」「ルイ・ヴィトンらしい世界観」が広がっている。上部のメインメニューにある「WORLD OF LOUIS VUITTON」には、「品質」「伝統」「革新」を感じさせる、様々なコンテンツや動画を見ることができる。その中でも特に「品質」へのこだわりを感じさせるのが次の動画だ。

Louis Vuitton Savoir-Faire | Leather Goods

 このオウンドメディアは、ここでしか体験できないコンテンツを提供し、そしてブランドエクスペリエンス(ブランドを体験すること)を通じて「伝わる」ことを意識している。

 注意してほしいのは、「伝える」のではなく、「伝わる」ことを意識している点である。詳しくは他の優良ブランドのオウンドメディアを見てから説明するが、両者の違いは非常に大きい。

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