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マシュマロ×電報、異種を掛け合わせるから面白い

JOYWOW 阪本啓一氏

 ロングセラー商品の売れる理由を研究すると、「異種が掛け合わされた面白さ」に気づく。

 グリコのキャラメルには、おまけのおもちゃがくっついている面白さがあった。お菓子(=食べもの)とおもちゃが一緒になっている異業種コラボレーションが面白いと思って調べてみると、開発者であり、江崎グリコ創業者の江崎利一氏は必ずしも異種とは考えていなかったようであるが。

 「子供の生活行動をよく観察していると、食べることと遊ぶことが二大天職のように思える。食べながら遊び、遊びながら食べている。どちらか一方だけでは満足しない。つまりオヤツとオモチャの世界に住んでいるのである。・・・(中略)・・・だから私は栄養菓子を子供に与え、オモチャとしての豆玩具を提供しようと考えたのだ」(江崎利一『商業ひとすじの記』『グリコのおまけ』より引用)

キンチョーは、美容の会社かも?

 キンチョーの蚊取り線香。2012年度朝日広告賞を取った広告では、下着姿の若い女性の写真に「キンチョーは、美容の会社かもしれないと思った」というコピーが添えられている(受賞作の画像はこちら)。

 蚊取り線香と下着姿の女性、そして美容。いずれも意外な取り合わせである。しかし、よく考えてみたら、蚊にさされるとその跡が長く残ってしまう。それが人目に触れる部分かどうかはさておき、「気になる」「かわいくない」と思う女性も中にはいるだろう。つまり、「殺虫」という蚊取り線香本来の機能を一歩踏み込み、異種の「美容」を表に出すことで、広告を見た人の脳に「刺さる」効果を上げている。

 思えばキンチョーは、1967(昭和42)年に美空ひばりが出演するテレビCMで「金鳥の夏、日本の夏」というフレーズがヒットし、「夏といえば金鳥」というイメージ戦略に成功している。しかしながら、ドーンと画面一杯に広がる大きな仕掛け花火と蚊取り線香は、同じ季節のものとはいえ、直接的には何ら関係がない。美空ひばり、その後に続いた小柳ルミ子、十朱幸代、石川さゆりといったイメージキャラクターも、言ってみれば「殺虫」機能とは異種である。

 第2次世界大戦前まで、キンチョー(社名は大日本除虫菊)の創業の地である和歌山県だけでも蚊取り線香を製造するメーカーが30社以上あった。キンチョーは発売当初からブランド戦略を実施しており、「金鳥かとりせんこう」の「金鳥」を1910(明治43)年に商標登録をしている。「鶏口となるも牛後となるなかれ」という中国の歴史書の一節に由来し、「小さな分野でもトップとなる!」という思いが込められている。効能を示す「蚊取り」ではなく線香の「香り」でもなく、異種の「金鳥」マークというのも、人々の脳に刺さる有効なブランド施策だったわけである。

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