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「で、それをやったら売れるの?」という愚問

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

【外部環境】

  • 競合状況(競合商品の競争力、競合の広告投下量やキャンペーンなど)
  • 経済状況や消費者心理トレンド
  • 天候や気候など

 ざっと書き出しただけでも、商品の売り上げを構成している要素にはこれだけのものがあるのだ。もっとあるだろう。なのに、この中の広告や1つのキャンペーンだけを抜き出して、「で、それをやったら売れるの?」では、あまりにも大雑把すぎないだろうか。

心意気だけで売り上げは増えない

 こんなことを言うと、広告業界の先輩たちから、「最終売り上げに対する気概とコミットメントを持てないくらいなら、広告の仕事なんてやめてしまえ!」とお叱りを受けるかもしれない(厳密に言うと私は "ザ・広告マン" ではないが、それはさておき)。

 私にだって、マーケティング屋としてのプライドがある。心の中では、いつもクライアント商品の売り上げ向上を目指しているし、そのために自分が課せられた課題領域の中で、ときには領域侵犯もしつつ、最大限の努力をしようと努めている。

 それでも、売り上げは心意気や努力だけでは作れないと思うのだ。マストバイ・キャンペーンや、ウェブで商売が完結するダイレクトマーケティング商材などは、「いくらお金を使って、どれだけ売れたか」の費用対効果を明確に出しやすい。

 しかし、小売店舗で購入される一般消費財や耐久消費財の場合、技術、商品開発、広域流通(営業)、店頭価格、コミュニケーション、その他外部環境など、あまりにも多くの要素が関係するため、どれが何%寄与して何円の売り上げが作られた、といったことを分析するのは難しいのだ。仮に、「この商品はこの広告(キャンペーン)の力によって売り上げを伸ばした」なんて断じている広告担当者がいたら、よほど鈍感かマーケティングを知らない人だろう。

 一方、どんなに広告が良くても、飲んでみて、ものすごくまずいジュースだったら2度と買われない。リピート購買が起こらない商品は、早々にコンビニの棚から落ちてしまう。当然、売り上げは上がらない。また、広告を見て興味がわき、商品を買おうとスーパーに行ったら、棚に置いていなかった(配荷されていなかった)。やはり、売り上げは上がらない。さて、これらは広告やキャンペーンのせいだろうか。いや、違うはずだ。

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