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ソーシャルメディアのその先へ

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「で、それをやったら売れるの?」という愚問

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 新しいことにチャレンジしようとすると、必ずと言ってよいほど受けるのが、上長からのこんな言葉ではないだろうか。

「で、それをやったら売れるの?」

 今でこそソーシャルメディアのマーケティング活用は当たり前になったが、私の会社がソーシャルメディアマーケティングの戦略コンサルティングやプロモーションの実行支援サービスを提供し始めた2007年頃、ソーシャルメディアの活用は多くの企業にとって、まだ「何だかよく分からないもの」だった。

 そのため、決まって、こう言われたものだ。

「ソーシャルメディアに取り組んだら、売り上げが増えるのですか?」

 私は、このセリフを聞くたびに「またか・・・」と思い、悲しい気持ちになった。なぜか。「痛いところを突かれた質問」だからではない。目の前にいる担当者が、多くのマーケッターと同じように、広告や宣伝、プロモーションによって「のみ」売り上げが作られていると勘違いしているからである(疑う方も多いと思うが、事実だ)。

 「で、売れるの?」という一言は、新しいマーケティングチャンスや素晴らしいアイデアのつぼみを一瞬にして枯らし、もぎ取ってしまう強烈なパワーを持っている。また、提案者や企画内容を、これ以上ないほどの威力で再起不能にしてしまう力を持っている。こういう話は、マーケティングだけでなく、いろいろな現場にころがっていると思う。

商品を売り上げるまでに関わる、実に多くの人々

 私は、20代の頃、マーケティング会社に在籍していた。その会社は、主にメーカーのマーケティング支援全般を行う会社で、私はフォーカス・グループ・インタビュー(※)や定量的なアンケート調査などによって、商品コンセプト、ネーミング、パッケージデザイン、味、容量、価格など、商品開発に関わる全般を担当していた。

(※)1グループ6~7人くらいの少人数で行うインタビュー調査。大規模な定量調査を実施する前の方向性確認や、アイデア探索などの目的で行うことが多い。

 グループインタビューでのモデレーター(司会者)として、女子高生から主婦、社会人男性まで幅広い消費者のインサイトを深掘りしたり、企業の中で基礎研究や応用研究をしている研究者の方々に商品コンセプト開発のイロハをトレーニングするインストラクターを務めたりしたこともあった。

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