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変貌する小売り

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協力:アドビ システムズ

「店頭でネット販売」、ユニーが放つ異色の戦略

ネットを武器に「店舗の強み」を再構築

 もう1つの総合スーパーの強みは、バイヤーの仕入れ力とメーカーとの物流関係だ。お中元やお歳暮の季節、店頭には陳列していないようなギフトセットを店頭のタブレット端末で注文してもらい、ユニーの倉庫でカスタムに箱詰めしてから発送するという仕組みを実現できる。

 店舗と物流の強みを生かすことで、「店舗で品ぞろえして顧客を待つ」という発想から、「顧客の欲しいものをあらゆる方法で提供する」というバリューチェーンへの組み替えに挑戦している。今後はグループのコンビニでもタブレット端末ひとつで何でも注文してもらえるようにする計画だ。こうした戦略は、全国展開の大手よりも機動的に展開できる地域密着スーパーならではと言えるだろう。

IT、物流、ECをまたがるポジションが重要、全体最適の実現へ

 前回対談した良品計画の奥谷さんに続き、ユニーの角田さんのリーダーシップも大きい。

 角田さんはさらに経営に深く関与する執行役員という立場でITと物流とECを同時に見ている。事業部単位の部分最適化しかできないことで苦しんでいる企業が多い中、全体最適の視点から経営に意見を述べていける立場の人がいなければ、顧客コミュニケーションを軸にしたバリューチェーンの再設計を全社に働きかけていくのはなかなか難しい。その点で角田さんは、店舗が主体となってECを活用していけるように「ECの売り上げを全部店舗に付ける」など、横断的な案件で経営トップの合意を得ている。

 もちろん役職が高いからといって「俺はよく分からない、分かるように説明しろ」とは言わない。角田さんはむしろ若手よりも最新知識をよく理解しているといえるかもしれない。物流もITもECも全部自分が判断できるだけの知識を身に付けているからこそ、「俺が責任を取るからどんどんやれ」と若手に日々はっぱをかけられるのだろう。

 アマゾンが日本に上陸して13年。ネット販売の脅威に対して、準備する時間は十分にあったはずだが、後手に回ったことを悔いていても仕方がない。自社の強みを生かしてどこまで顧客とコミュニケーションし、マーチャンダイジングと物流をITで武装し、利便性を提供できるか。そして、それを最も早くリーズナブルに実現できるリーダーに、一刻も早く最大の権限与えて任せることが経営トップに求められているといえよう。

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