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変貌する小売り

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協力:アドビ システムズ

「なぜ買ったか」を探求する無印良品

POS以来の“小売り革新”

 無印良品のネット販売は2年連続で2桁成長を達成した。それなのに、良品計画WEB事業部長の奥谷孝司氏は、ネット販売の売り上げより「顧客とのコミュニケーション」を優先するという。

 背景にあるのは、POS(販売時点管理)以来の"小売り革新"だ。その先頭グループを走る良品計画は、時流とは異なる発想でネットとリアル店舗の融合を図り、POSだけでは知り得ない「顧客時間」の理解に向けてスマートフォンアプリを投入した。

 良品計画はどこに向かおうとしているのか。同社の奥谷氏と、日経MJのコラム「ECの波頭」で連載中の藤元健太郎氏(D4DR代表取締役社長)による対談を通して明らかにしていく。

 なお、本記事の最後に、藤元氏による"小売り革新"の本質を解説した対談後記を載せた。ぜひ最後まで読み進めていただきたい。(日経BizGate)

好調のネット販売より、「店舗送客」「絆づくり」を優先

藤元氏 ネットが消費者の生活に浸透した今、「無印良品」というブランドや店舗/ネット販売の位置づけが変化してきているのではないか。また、奥谷さんのいるWEB事業部は、そこでどのような役割を担っているのか。

<b>奥谷孝司氏<br>

良品計画 WEB事業部長</b><br>

1997年、良品計画に入社。2003年から商品開発に携わり、2010年から現職。ネット販売、デジタルコミュニケーションなどを手がける。 奥谷孝司氏
良品計画 WEB事業部長

1997年、良品計画に入社。2003年から商品開発に携わり、2010年から現職。ネット販売、デジタルコミュニケーションなどを手がける。

奥谷氏 WEB事業部の話からすると、役割は3つある。1つは、無印良品のブランドをネットで紹介して顧客に理解してもらい、お店へ来てもらうこと。2つめは、顧客との絆づくり。かつて「ものづくりコミュニティー」と呼んでいて、今は「くらしの良品研究所」に名前が変わったが、顧客と一緒に進める商品開発のコミュニティーがある。このコミュニティーを通して顧客との絆づくりをやっていく。3つめは、これらの成果としてネット販売の売り上げを伸ばすことだ。

 ネット販売は2年連続で2桁成長している。しかし、会社全体の売り上げから見たら、ネット販売はまだ7%程度にすぎない。私としては、ネット販売での売り上げにこだわらず、残りの93%にも貢献できるよう、ネットから店舗への送客も含めて顧客との絆づくりをメインに取り組んでいる。

 当社とネットの付き合いは2000年の「無印良品ネットストア」からのものだ。ネットストアを始めて数年はずっと赤字だったが、無印良品というブランドのもとで、ものづくりコミュニティーはずっとやっていて、ソーシャルメディアが台頭してくる前から、ものづくりを通じた顧客とのつながりがあった。

 そういう素地のある会社で、私は2010年に商品開発のものづくりの世界からWEB事業部に来た。ここには、ものづくりコミュニティーから得た顧客の"個"の情報がたくさんある。それをベースに顧客とコミュニケーションしていくと、ものづくりだけではなくて、マーケティングもできるのではないかと感じた。

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