日本経済新聞 関連サイト

ソーシャルメディアのその先へ

記事一覧

だから、そのプロモーションは失敗する

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 毎月、星の数ほどの新商品が生まれ、新商品の数だけプロモーションキャンペーンが行われる。しかし、そのほとんどが失敗に終わる。商品ライフサイクルも短命化の一途をたどり、「センミツ」という業界用語まで存在する。1000個の新商品のうち、生き残るのは3つ程度という意味だ。

 こんな混沌の時代、新商品や新サービスのプロモーションには、ある「発想の転換」が必要なのだが、そういう発想転換を伴ったプロモーションは極めて稀である。まず念頭においてほしいのは、次の一言だ。

消費者は、この商品のことなんて1秒も考えていない――。

 これは、私が様々な新商品や新サービスのプロモーションを企画するとき、必ず立ち戻る出発点である。もちろん例外もあるのだが、新商品や既存商品のプロモーションが失敗する理由の多くは、この言葉が示す「買い手の冷たい無関心」だ。そして、その反対側にある「売り手の熱い気持ち」との間に"温度差"がありすぎるため、失敗が繰り返されていると感じている。

消費者は、その画期的な新機能のすごさを見抜けるか

 メーカーのマーケティング担当者は、担当商品のことを愛している。商品開発の段階から携わっている場合は愛着も情も半端なものではない。自分の子どものように、心の底から担当商品のことを愛している。24時間365日ずっとその商品のことを考えているし、競合商品と比べて何がどう優れているのか、USP(Unique Selling Proposition:独自の強み)も全て頭に入っている。「コンセプトや見た目は地味かもしれないけれど、使ってもらえさえすれば、必ず満足してもらえる」と強く信じている。ハイアテンションかつ高関与な状態だ。

 しかし、である。

 果たして、消費者もこのマーケティング担当者と同じくらい四六時中その新商品のことを考え、いまかいまかと発売を心待ちにしているのだろうか。また、その新商品は、他の競合商品と比べて何が優れているのかを一発で見抜ける商品知識を持っているのだろうか。そもそも他社商品との違いを、USPと認識してくれるのだろうか。

 例えば、かつて被写体の笑顔に反応するスマイルシャッター機能が話題になった。USPは、もちろん「笑顔に反応して自動的に切れるシャッター」。小さなカメラに最先端の顔認識技術が組み込まれたのだから画期的だった。しかし、消費者の多くは、別に笑顔に反応しなくても、従来の機能で十分だと考えたようだ。少しの間流行したが、今、その機能を使う人はほとんどいないのではないだろうか。

この記事は会員限定コンテンツです。
続きを読むには、日経BizGateに会員登録(無料)してください。

最初に日経IDを取得し、その後日経BizGateに利用登録します。
おすすめ記事やキャンペーンをお知らせするメールマガジンもご利用ください。

すでに登録済みの方はログインしてください。

今すぐ登録 ログイン

PICKUP[PR]