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ソーシャルメディアのその先へ

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「消費者ニーズは高度化・多様化している」のウソ

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 「もうテレビの時代は終わった」「これから全てのマーケティングはデジタルシフトする」「消費者ニーズは高度化・多様化を極めている」「ソーシャルメディア時代には従来のマーケティング手法は通用しなくなる」――。雑誌やWebメディアの見出しは、こんなあおり文句であふれている。

 確かに、ソーシャルメディアの出現と爆発的普及によって、いままでのマーケティングは大きな変革を迫られている。どんなにお化粧をしてきれいに着飾っても、ソーシャルメディアの中では「ありのままの自分(すっぴん姿の商品や企業)」がさらされてしまう。TwitterやFacebook、mixiやLINEなどのコミュニケーションツールによって消費者は横につながり、企業のマーケティングに(過度に)踊らされない術を手に入れた。これは、人がメディアを持ったのではない。人がメディアになったのだ。1億人総メディア時代の幕開けである。

 しかし、である。私たち消費者は、そんなに大きく変わったのだろうか。利用するデバイスや、1日に消費する情報量は飛躍的に増えたが、相変わらず私たちの脳みそは1つだし、1日は24時間だ。コンビニに並んでいる商品の数も、「ダイエット」や「恋愛」など雑誌で特集されるテーマも10年前とほとんど変わっていない。

 つまり、世の中には「変わるもの」と「変わらないもの」の2つがあるのだ。価値観やライフスタイル、デバイスやメディアなどは時代とともにどんどん変わっていく。だから、マーケティングも時代の変化に合わせてフィットさせていかなければならない。

 一方で、変わらないものがある。それは、この地球上には人間しかいないということだ。街も道路も橋も商品もサービスも情報も、それを考え、つくり、消費するのは、昔も今もこれからも、ずっと「血が通い、感情を持った生身の人間」なのである。

 本コラムでは、「ソーシャルメディア」 「スマートフォン戦略」 「ビッグデータ活用」といった、いわゆるバズワードを解説するようなことはしない。逆に、世のマーケティングで「当たり前のこと」として語られていることへの問題提起や、多くの消費者が「無意識に」行っていることの背景とマーケティングへの実践的なヒントなどを示していきたいと思っている。

マーケティングの教科書が語る"常識"は本当か?

 前置きが長くなったが、本題に入ろう。コラムの第1回では、消費者ニーズにまつわる"常識"を疑ってみたい。

 マーケティングの教科書を開くと、必ずと言っていいほど、「現代の消費者ニーズは高度化・多様化を極めている」というフレーズが出てくる。そして、「ニーズが高度化・多様化した消費者を動かすためには、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングが大切である」と続く。

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