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日米株価、急落も基本強気トレンドに変化なし

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 自発的離職の増加は、それだけ米雇用市場が「売り手市場」の状態にあることを示しており、離職者は比較的優位に次の就職の交渉に臨むことができる。無事、彼らが次の職に就く算段となった暁(あかつき)には、大半の場合、彼らの賃金は以前よりも増えているはずであると推察される。そんな離職・再就職を実現する人が増えるほど、米国で働く人々の賃金水準は押しなべて上がって行く。

 結果、多少のタイムラグを持って個人消費が盛り上がり、さらにもう少しのタイムラグを持って消費者物価も上昇し、賃金をはじめとしたインフレ率全体が上昇することで、FRBによる利上げのペースも加速する可能性が高まってくるのである。

 一方で今回、日米株価が一時的に大きく調整しても外国為替市場が極めておとなしかったのは、やはり主因となった米賃上げから金利上昇の展開が間違いなくドル買い材料であること、それがリスク回避の円買いと綱引きする格好となったことが原因であると思われる。つまり、今後も円の上値にはおのずと限りがあり、少し長い目では緩やかな円安基調がなおも続くと見ていいものと思われる。

田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」「生活情報論」の講座を受け持つ。金融・経済全般から企業経営、資産運用まで幅広く分析・研究。新聞、雑誌、ウェブに多数連載を持つほか、講演会、セミナー、研修等の講師や、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。主な著書に「財産見直しマニュアル」(ぱる出版)、「外貨でトクする本」(ダイヤモンド社)、「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)、「はじめてのFX『儲け』のコツ」(アルケミックス)、「日本経済沈没!今から資産を守る35の方法」(西東社)、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」(自由国民社)など。

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