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日米株価、急落も基本強気トレンドに変化なし

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 ただ、日経平均株価の値動きにおいても昨年9月半ば以降の上昇ピッチは相当なものであったし、NYダウ平均と同様に日経平均株価が直近高値(=2万4129円)をつけにいった局面での、26週線や52週線に対する上方かい離の程度は必ずしも尋常ではなかった(下図参照)。よって、足下の調整は至極当然のこととも言え、またある程度下げたところは絶好の押し目と見ることもできると思われる。1つには、52週線が位置する水準近辺で下値をサポートされることとなるかどうかを見定めたい。

日経平均株価の推移(実線=26週線・52週線、点線=20週サイクル)

 なにしろ、日経平均株価が前日比で1000円以上の下げを演じた6日の時点における日経平均採用銘柄の予想PERはなんと13.81倍という水準まで低下したのである。過去に本連載でいく度も触れているように、リーマン・ショック後の同指標はおおむね13.5~16.5倍の間で推移しており、ボトムと見られる13.5倍に近づいた場合には、そこが絶好の買い場になると考えることもできる。

 また、この時点における日経平均採用銘柄の予想EPS(1株当たり利益)の平均は1565円と計算でき、そこに予想PER=16.5倍を当てはめれば近い将来において日経平均株価が2万5800円あたりまでは値を上げておかしくないということにもなる。もちろん、ここでの1565円は2018年3月期の予想であり、翌期の水準はさらに一段と引き上がる可能性もある。

 他方、日経平均株価が「昨年9月8日安値を起点とする20週サイクルにおいてサイクルボトムを形成するタイミングを今ちょうど迎えている」ということも念頭には置いておきたい。再度、先の図を見ればわかるように、近年における日経平均株価の目立った安値は2016年2月12日、同年6月24日、同年11月9日、2017年4月17日、同年9月8日など、おおよそ20週ごとにつけられており、実に興味深いほどにそれがパターン化しているのである。

 もちろん、サイクルボトム形成には1~2週間程度の期間を要することもあるし、何より今回の急落は少々傷が深く、投資家がポジションを立て直すにも、しばしの時間が必要となろう。おおむね2月半ばごろあたりから、あらためて強気の展開が見られる可能性もあると想定しておきたい。

いよいよ米国では消費活発化から物価強含みへ

 繰り返しになるが、今回の日米株価急落のきっかけは「米国で賃上げの兆候と捉えられる指標が出てきた」というグッドニュースにあった。筆者は、これまでに本連載でいく度も述べてきているが「米国の雇用市場の現状を鑑みれば、少々時間はかかってもいずれ賃上げのムーブメントが盛り上がってくることは間違いなく、まず賃上げの動きが顕著になってくる。その後には賃上げの動きが米個人消費市場の活性化に結び付き始め、その後に消費者物価が強含み始める」と想定している。

 とにもかくにも"大事なのは賃上げ"であって、それは米労働省が毎月発表している『雇用動態調査(JOLTS)』の結果をながめていれば自ずと見えてくるとも述べてきた。その昨年12月分のデータが6日のNY時間に発表されたわけだが、見れば相変わらず高止まりしている「求人」の件数に「採用」の件数が追いついていないことが明らかにされているうえ、自発的な「離職」の件数が326万件と過去最高水準にまで膨らんでいることも判明していた。

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