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AIリテラシー、マネジメントに求められる力

第5回 産業技術総合研究所 上席イノベーションコーディネーターの杉村領一氏に聞く

データを地道に集めるか、知恵で集めるか

――そもそも、AIに入力するデータの取得に苦慮する場合が多々あると聞きます。

 事業の対象とする現場に入って、地道にデータを集めることは重要です。その際、大切なのは事業の目的です。何でもデータを取得すればいいわけではありません。

 データ取得の方法も工夫次第で、様々なやり方があります。皮膚の画像データを集める方法を工夫した例を紹介しましょう。

 米国には、太陽光に当たることで皮膚がんにならないかを危惧する人が数多くいます。そうした人が、医師に診察を受けると100ドルかかるとします。しかも、勤務時間には病院に行けず、事前に予約をする必要があるなど、様々な制約があります。

 これに目を付けて、データを集める仕組み作った会社があります。利用者が自分の皮膚の画像をこの会社に送ると、20ドルで診察してもらえるというものです。この会社は医師に画像を送り、40ドル払って空き時間に診察してもらいます。医師が判断するのは、「利用者本人が直接医師に会うほど深刻な状況かどうか」だけなので、画像の診察に要する時間はせいぜい数分程度とわずかです。その結果が、利用者に戻されます。

 利用者は、100ドルを要するところを20米ドルで最初の診察ができるのが利点です。医師は、空いている時間にアルバイトができる利点があります。そしてこの会社の利点は、診断付きの映像が20ドルで手に入るというところです。次々に診断付きの画像を集めてデータベース化し、出来上がったデータベースを活用した事業を展開できるわけです。

 このような、データを合法的かつWin-Winの形で集める方式を考えたスタートアップが幾つか出てきています。自ら現場に入って地道にデータを集めるのが難しい場合であっても、データを集める仕組みを作って所望のデータベースを構築するという方法も考えてみる価値はあります。

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