日本経済新聞 関連サイト

英国海兵隊に学ぶリスクマネジメント

記事一覧

仲間が地雷踏む それでも英兵はジョーク

マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー 岩本仁氏

ピンチでも笑顔 未来を語る

 ジョークを言った兵士は大けがをした仲間をからかった訳ではない。戦場にいる限り明日は我が身だ。

 負傷兵を安全な場所に離脱させる間、兵員は不足する。兵士1人あたりの負担が増す。負傷した兵士を落ち着かせるため、同時に、前進を続けなければならない残りの兵士を鼓舞するために、ジョークを思いついたのだ。

マッキニーロジャーズ創設者の1人、元英国海兵隊総司令官サー・ロバート・フライ㊥は若い兵士らに笑顔で接していた マッキニーロジャーズ創設者の1人、元英国海兵隊総司令官サー・ロバート・フライ㊥は若い兵士らに笑顔で接していた

 日本人は気の利いたジョークがあまり得意でない。窮地においてはなおさらだろう。だが、苦楽を共にする部下や仲間の緊張をほぐすのはリーダーの重要な仕事である。それに、危機の時は普段以上に部下から表情を見られ、発言に耳を傾けられている。

 意識して努めるのは深刻な顔を見せないこと。笑顔で接して欲しい。自分自身つらい状況でも、リーダーにはやせ我慢が必要だ。

 前回、被災時の心構えについて論じたが、被災以外でも社内が動揺する危機は起こり得る。粉飾決算や談合の疑いで会社が捜索を受けた場合など、社員はショックで仕事どころではなくなる。動揺する部下を落ち着かせる心構えについては前回を参考にしてもらいたい。一方、部下が落ち着きを取り戻したら会社の未来に関するビジョンを語って欲しい。

 大変な時こそ未来を語る意味がある。目の前にある懸案に集中すれば当座は不安を抑えられるが、長引くほど徒労感が増す。諦めたい気持ちが芽生えても、未来のビジョンを語ることで押しとどめることができる。

PICKUP[PR]