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ブリヂストンのデジタル変革組織、1年目の成果

 乗用車・トラック・バス・建設機械といった車両のタイヤをはじめ、ゴルフなどのスポーツ用品でも、名前を知られるブリヂストン。その同社が今、取り組んでいるのが、あらゆるモノがネットにつながるIoTを核としたビジネスのデジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)である。同社の鉱山向けソリューションや自社製造工程のデジタル化への取り組みをご存じの方も少なくないだろう。

 そのブリヂストンが「デジタルソリューションセンター」というデジタル変革の新たな専門組織を作ったのは2017年1月のこと。IoT先進企業であるはずの同社に何が起きているのか、1年間にわたる同センターの活動と成果はどのようなものか。デジタルソリューションセンター長の増永明氏と、同センター デジタル戦略企画部長の永谷賢二氏に聞いた。

競争激化でソリューションプロバイダーへ転換進める

 まずブリヂストンがそもそもデジタル変革に取り組んだ背景を見てみよう。同社の2016年度(2016年12月期)の連結売上高は3兆3370億円。内訳はタイヤ部門が83%、その他の多角化部門が17%で、依然としてタイヤ部門が主力事業である。市場のニーズに応じて多様な商品を開発・提供、品質やコスト効率を追求してきた。

<b>ブリヂストン デジタルソリューションセンター長 増永明氏</b> ブリヂストン デジタルソリューションセンター長 増永明氏

 しかし、タイヤ市場における競争は新興国メーカーの成長などで激化するばかりだ。デジタルソリューションセンター長の増永明氏は、「コスト競争が激化によって、これからはタイヤの単品売りではないビジネスに舵を切らないと生き残れなくなっています。そこで当社は、データに基づいてメンテナンスまでを支援するソリューションプロバイダーへの転換を進めています」と語る。

 「例えば法人のお客さまにとって、タイヤは、トラックやタクシー、建設機械などを動かすツールです。タイヤがどこまですり減ったか、パンクしそうかなどといったことは心配したくないわけです。そこでタイヤの状況を管理して、必要なメンテナンスを支援するサービスが求められていると考え方を転換しました」(デジタル戦略企画部長の永谷氏)

まず組織単位で検討・導入開始

 ブリヂストンは、このソリューションプロバイダーへの転換を、組織ごとに早い時期から実践していた。「生き残るためには、ビジネスのIT化やデジタル化が必須と考え、データを活用したソリューションを2005年ごろから検討・導入してきました」(増永氏)

<b>ブリヂストン デジタルソリューションセンター デジタル戦略企画部長 永谷賢二氏</b> ブリヂストン デジタルソリューションセンター デジタル戦略企画部長 永谷賢二氏

 その1つは、鉱山向けのソリューションである。鉱山用車両のタイヤに、空気圧や温度を測定するセンサー「B-TAG(ビータグ、Bridgestone Intelligent Tag)」を取り付け、タイヤの状態を監視。より長持ちする使い方をフィードバックすることが可能になっている。

 このB-TAGを、タイヤ資産管理ツール「TREADSTAT(トレッドスタット)」と連携させると、タイヤの交換記録などと組み合わせて、タイヤのローテーションなどをタイムリーに促してタイヤトラブルによる鉱山の操業停止を最小限に防ぐことも可能になる。

 さらに、ブリヂストンは、得られたデータをタイヤの商品開発にフィードバックして、より良い製品を提供することも目論んでいる。センシング技術とデータ分析を連携して、産業のエコシステムを確立しようという考えである。

 もう1つのソリューションは、ブリヂストン自身のものづくりをデジタル変革することである。タイヤは成形機によって製造するが、ブリヂストンは成形機による製造工程に自動化とセンシング、さらに部分的にAI(人工知能)を利用した「EXAMATION(エクサメーション)」という仕組みを導入した。ここではビッグデータ解析による予測アルゴリズムの実装により、タイヤの出来栄えを示す真円度(ユニフォーミティー)のばらつきを高品質の従来製品に比べても15~20%低減させることに成功している。ビジネスの課題を知るとともにデータを分析できる人材が必要になるため、その人材教育も行っているという。

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