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英国海兵隊に学ぶリスクマネジメント

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大震災 職場リーダーが守るべき心得

マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー 岩本仁氏

 17日、6000人以上が犠牲となった阪神淡路大震災から23年となった。2011年の東日本大震災や16年の熊本地震など近年の災害でも物流などインフラの脆さを痛感した企業は多い。迅速な復旧には現場主導のリーダーシップが欠かせない。現場のリーダーやマネジメント層に求められる心得を軍隊式ノウハウから読み解く。

明確な指示が部下の不安を抑える

港湾や道路の被災は企業にとって死活問題につながる(神戸港震災メモリアルパーク) 港湾や道路の被災は企業にとって死活問題につながる(神戸港震災メモリアルパーク)

 大地震で店舗が被災したり物流がマヒしたりすると、当事者の「素」の人間性が表に出やすくなる。冷静でいられる人、パニックに陥る人、積極的に貢献する人...様々なタイプが見えてくる。誰に何を任せれば良いのか。マネジメント層や現場のリーダーは、難しい判断を迫られるかもしれない。こんな時ほど周囲を見渡す冷静さが求められる。

 被災した企業の現場リーダーが最初にすべきことは以下の点だ。

 ・部下の気持ちを落ち着かせる

 ・最前線で存在感を示す

 ・貢献している人に感謝を示す

 ・外部からのプレッシャーを吸収し部下のストレスを減らす

 ・最重要タスクに直接関与し、優先順位を決める

 ・パニック状態の人を担当から外す

 「理屈は分かるけど実際は難しいのでは」と感じる人もいるだろう。特に「部下の気持ちを落ち着かせる」にはどうしたら良いのか。このような場合に軍隊式のノウハウは役に立つ。

 戦場で部隊が包囲され、援軍到着まで持ちこたえなければならない場面を想像して欲しい。「全滅するかもしれない」――そんな恐怖を一度も感じない兵士はいないだろう。歴戦の勇士であっても恐怖の感情をゼロにすることはできない。恐怖心は人間の生存欲求に根ざしているからだ。

 それでも、防御のため最優先のミッションが分かっていれば、兵士がパニックに陥ることは少ない。そのミッションに集中している間は、恐怖心の膨張を抑えることができる。

 ただ、経験不足などで動揺を抑えられずパニックに陥る兵士はどうしても出てくる。そうした場合、現場指揮官は速やかにその兵士を担当から除外する。

 戦場でパニックに陥った兵士は、動きが止まるか動きが極度に遅くなる。敵に狙われやすくなり、負傷すれば部隊の負担が増す。部隊を維持するため速やかに判断しなければならない事柄だ。

 被災した企業の場合でも、部下の気持ちを落ち着かせるには現場リーダーが発する明確なミッションが欠かせない。ミッションを下すには、問題の優先順位を把握しておく必要があるが、そうした状況判断にも迅速さが求められる。

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