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海外支援と地方創生が未来のサラヤにつながる

サラヤ社長・更家悠介氏に聞く(後編)

 サラヤの海外支援の成功例として、「ウガンダ100万人手洗いプロジェクト」について説明しましょう。もともと、2002年の創業50周年のときに「手洗い世界ナンバーワン企業になります」と宣言したことから、この延長で2012年の創業60周年の記念事業には何をやろうかと考え、日本ユニセフ協会に相談に行ったのです。そこで提案を受けたのが東アフリカのウガンダでした。

海外支援のツボは国際組織を味方につける

 ウガンダは当時、内戦後の混乱で衛生インフラが著しく損なわれており、コレラがまん延するなど、乳児死亡率が極めて高い状態でした。支援の緊急性が高かったのです。また、サラヤとしても最低限の利益を確保しつつ、途上国におけるビジネスモデルの構築につなげたいと思っていましたから、国際政治経済的に見てビジネス開発の可能性がなければなりません。そんな条件にも合うのがウガンダだったのです。

 さっそく2010年にプロジェクトを開始。4つの施策を打ち出し、次々取り組みました。1つ目は啓発活動です。120万人の母親に対面で手洗いの重要性や方法などを伝えました。2つ目は手洗い設備の設置。重要性を伝えても、実際の手を洗う場がなければ実現しません。3つ目は自主的な衛生活動の支援。サラヤや国連児童基金(ユニセフ)、外部からのボランティアだけでは活動に限界をきたします。1万2500の村を対象に研修を行い、「手洗いアンバサダー」を募り、地域での教育者を養成しました。4つ目は、現地メディアを活用した広報活動です。

 加えて、これらの施策をサステナブルに進めるために必要なのがキャッシュフローです。ウガンダで何らかのビジネスを起こさなければなりませんでした。思いついたのがアルコール消毒剤の生産です。ウガンダでは医療行為でアルコール手指消毒がなされておらず、需要は確実でした。また、イギリスの植民地だったことから飲酒文化が浸透しており、ビールやジンの生産経験も豊富。だから、きっとできるだろうと、2011年に現地法人サラヤ・イーストアフリカを設立、2014年には工場でアルコール消毒剤の生産を開始しました。偶然ですが、同年のエボラ出血熱のパンデミックで緊急対応に威力を発揮することができました。

 途上国における海外支援活動で欠かせないのは、現地での活動資金の調達です。そしてそのためには、国連などの国際組織や現地のボランティアなどからの協力が必須です。こうしたことが実地で学べたのがウガンダのプロジェクトでした。このプロジェクトはまだ続いていますが、ここでの学びをもとに、新たな海外支援プロジェクトがいくつも動いています。

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