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SDGsの実現に向けてサラヤがやってきたこと

サラヤ社長・更家悠介氏に聞く(前編)

水への環境配慮するも、ゾウの環境気づかなかった

-- 創業以来、環境意識を高く持ち続け、事業発展に尽くしてきたサラヤですが、今でいうところのソーシャルビジネスに取り組むきっかけになったのは、いつ、どんなことでしょう。

 2004年のことです。突然、テレビ朝日からこんな依頼がありました。「御社が製造販売しているヤシノミ洗剤の材料であるアブラヤシの農園開発によって、ボルネオ島の環境破壊が進んでいる。野生のゾウが生息地を追われたり、アブラヤシの大規模農園の防除柵に捕まって死にそうになっている。番組に出演し、これについてコメントをしてほしい」。びっくりしました。石油由来の洗剤とは違って、植物由来のヤシノミ洗剤は、環境に配慮こそすれ、環境破壊だなんて思ってもいませんでしたから。

 ただ、当時は消費者の信頼を大きく損ねるという食品企業の不祥事が相次いでいたときでしたから、パーム油の利用企業として逃げ隠れることなく、正々堂々とテレビに番組に出演し、コメントすることにしました。パーム油は、日本ではサラヤのほかにも多くの企業が食用油脂や化粧品、洗剤の原料として利用しています。他社はバッシングを恐れて出演を拒否した中で、サラヤが唯一の出演となりました。

 案の定、番組に対しては「ゾウがかわいそう」という感情的な批判が寄せられました。また、サラヤに対しては、「植物原料にこだわるのであれば、ほかの植物原料に置き換えればよいのでは」といった意見も寄せられました。ここで、サラヤはこれからどうすべきなのか。ほかの植物原料を探すのか、またサラヤだけがパーム油の利用をやめても、世界の多くの需要家が利用していますから、彼らの利用もやめさせるのか......。

 ますは、このテレビ出演をきっかけに、ボルネオ島のパーム油生産の実態について調べることにしました。分かったことは、パーム油は最も安価な食用油脂として世界中で消費され、その消費量が年々増えていること、その供給のために、確かにボルネオ島ではジャングルを乱開発してアブラヤシのプランテーションが増えていること、そのために、野生のゾウやオラウータンなどが行き場を失っていること。

 この問題解決のために、アブラヤシの栽培をやめてしまえばよいのでしょうか。先進国は価格の高いダイズ油の利用も多く、パーム油に替えることができますが、途上国はできません。また、ボルネオ島でのアブラヤシの栽培、パーム油の生産がなくなれば、島の産業がなくなります。島では生きていく術を失い、結局、貧困の拡大につながってしまうのです。

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