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空前の積立投資ブームに乗り、持たざるリスク回避

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

投信を選ぶ際にいったん立ち止まって考えたいポイントは?

 ともあれ、この1月から「つみたてNISA」がスタートし、目下は多くの投資家が"持たざるリスク"を回避できればと具体的な投資対象の選定に精を出している。

 ご承知おきのこととは思うが、この投資対象というのは長期の資産形成に適していると金融庁が認めた投資信託に限られている。適格と認められるためには「販売手数料がゼロ(ノーロード)である」「信託報酬が一定水準以下である」「収益分配の頻度が毎月ではない」などの条件をクリアすることが必要で、昨年末時点において金融庁のお墨付きを得ることができたのは135本、うち9割が日経平均株価などの市場平均に準じる運用成果を目指すインデックス・タイプとなっている。

 もちろん、一口にインデックス・タイプといってもベンチマークとなる指標は日経平均株価や東証株価指数=TOPIXなど国内株式に関わるものだけではなく、先進国株式指標の1つであるMSCIコクサイ・インデックスや新興国株式指標の一つであるMSCIエマージング・マーケッツ・インデックスなど海外株式に関わるものや、国内外の株式、債券、REIT(リート)など複数(2~8種類)の市場に関わる指標をベンチマークとしているものもあって、実のところは選択するのも一苦労という部分はある。

 そうしたインデックス・タイプのなかで比較的話題に取り上げられることが多い2本を、あえてここでは取り上げておきたい。

 その1つは『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』で、楽天投信投資顧問が設定・運用にあたっている(取り扱いは楽天証券以外にも複数ある)。実のところ、このファンドは米ニューヨーク(NY)市場に上場する「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(ティッカー・シンボル=VT)」という上場投資信託(ETF)に単純に投資するもので、このETFが先進国や新興国を含む世界47カ国の約8000銘柄に投資(全世界の投資可能な時価総額の98%以上をカバー)することをウリとしている。

 もう1つは『楽天・全米株式インデックス・ファンド』で、やはり楽天投信投資顧問が設定・運用にあたっている(取り扱いは楽天証券以外にも複数ある)。このファンドもNY市場に上場するETFに投資して運用するもので、その対象は「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ティッカー・シンボル=VTI)」である。このVTIは米国株式市場の投資可能銘柄をほぼ100%カバーしているもので、前出のVTとの違いは言うまでもなく「全世界」か「米国オンリー」かの差ということである。

 このVTとVTIの過去1年間のパフォーマンスはほとんど変わらない。つまり、米国を中心とした世界同時株高でどちらも同じように好実績だったということである。ところが、互いを過去5年で比較してみるとVTのパフォーマンスはVTIのそれに遠く及ばないことがわかる(下図参照)。つまり、過去5年で見ると米国の株式相場がすこぶる好調に推移していたのに対して、米国以外の国や地域ではやや苦戦していたところもあったということである。いずれにしても、過去1年の実績だけに比較してもわからない部分があったことだけは事実である。

VTとVTIの過去5年にわたるパフォーマンス比較

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