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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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108のアイデアから「唯一のデザイン」を生む

第11回 GK京都の榎本信之社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 企業経営では専門領域に分化していくのか、総合的にいくのかどちらかを選ぶのが主流だと思いますが、両方をグループ内に共存させるのはユニークですよね。社内で議論はあったのですか。

GK京都はグループの「鉄砲玉」?

榎本 信之氏(えのもと のぶゆき)<br>

GK京都 代表取締役社長(GKデザイン機構 取締役兼務)。<br>

1958年生まれ。京都市立芸術大学美術学部デザイン課卒業、GK京都入社。プロダクトデザインを担当して、テーブルウェア/医療機器/オートバイ/家電製品/オーディオ/水上バイクなどの開発に携わる。その後、自動車や家電製品、店舗の企画デザインプロジェクトを通して、「プランニングデザイン」の研究/事業化を進める。また、携帯電話キャリアのデザインコンサルタント等を中心に、デザインによる経営支援に着目した「デザインマネジメント」を事業化。現在、デザインマネジメントをさらに展開した「クリエイティブ・ハブ」事業を推進中。 榎本 信之氏(えのもと のぶゆき)
GK京都 代表取締役社長(GKデザイン機構 取締役兼務)。
1958年生まれ。京都市立芸術大学美術学部デザイン課卒業、GK京都入社。プロダクトデザインを担当して、テーブルウェア/医療機器/オートバイ/家電製品/オーディオ/水上バイクなどの開発に携わる。その後、自動車や家電製品、店舗の企画デザインプロジェクトを通して、「プランニングデザイン」の研究/事業化を進める。また、携帯電話キャリアのデザインコンサルタント等を中心に、デザインによる経営支援に着目した「デザインマネジメント」を事業化。現在、デザインマネジメントをさらに展開した「クリエイティブ・ハブ」事業を推進中。

榎本 いや、偶然だと思います(笑)。GK京都では様々な領域に手を広げた後、バブルが崩壊してしまい、各部門を大きくするのが難しくなりました。逆に、プロダクトが悪い時はグラフィックや環境デザインが補うというように、相互補完のメリットが大きくなった。分化のタイミングを逃したのかも知れませんね。

長島 GKというグループの中に多様性を認める素地があったと。

榎本 というより、「巨人対阪神」ですかね(笑)。

長島 えっ!? どういうことですか。

榎本 「こっちはこれで行く」と。ちょうど1990年代後半からネットが普及し、デザインの市場も大きく変わりました。既存の領域や価値観では解決できない問題が多くなり、クライアントが課題を整理できないまま相談に来られることが多くなったのです。「売上アップしたいので、何か新製品をデザインして欲しい」みたいな。でも、よく聞いてみると、製品そのものより、パッケージやショップや売り方に問題がある場合もある。そうなると、いろんな分野に強みを持つ我々の総合力が生きるわけです。

長島 なるほど、そういうことですか。

榎本 それから現在に至るまで、「経営支援型デザインサービス」を標榜し、様々なプロジェクトに挑んできました。ソフトバンクモバイル(現・ソフトバンク)と組み、京都の伝統工芸である漆や京友禅を使った携帯電話のカバーを開発したのもその1つです。当時、携帯電話というと、1~2年で買い替えるイメージが強かった。それを逆手にとって、モノの力とは何か、愛着を持てるモノとは何か、世に問いかけてみたわけです。そうした思い切った試みを実行してきた。言ってみれば、我々はグループの「鉄砲玉」みたいなもんですね(笑)。

長島 またまた、面白い言葉が出てきましたよ(笑)。

榎本 実験台と言い換えればよいでしょうか。東京は専門性が高く、深く掘り下げていくのに対し、我々は枠にとらわれず、ソリューションを重視。私たちにとって何が最適かを優先してやってきましたが、東京からはどう見られているか...。

長島 私たちのドイツ本社と東京オフィスの関係に似ているかもしれませんね。ローランド・ベルガーの組織は基本的に産業別・機能別にいくつも分かれているのですが、東京オフィスだけは「マニュファクチャリング・イノベーション」と「ストラテジック・トランスフォーメーション」という目的別の2つの組織しかありません。「グローバルの基準と離れたことをやっている」と、にらまれていてもおかしくない(笑)。

榎本 実はGKグループは今、「第3の創業」をやろうという議論をしています。新しい時代に合わせて生まれ変わる必要があると。その中で出ているのが、テクノロジーとストラテジーとのリレーションをもっと強めていくという方向性です。今のお話を聞くと、切り口がすごく似ていますね。

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