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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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108のアイデアから「唯一のデザイン」を生む

第11回 GK京都の榎本信之社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

 日本型のイノベーション=「和ノベーション」を実現していくには何が必要か。ドイツ系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの長島聡社長が、圧倒的な熱量を持って未来に挑む担い手たちを紹介していくシリーズ。第11回はGKデザイングループの一員としてユニークな活動を続けるGK京都の榎本信之社長です。

「モノの民主化、美の民主化」掲げる

長島 聡氏(ながしま さとし)<br>

ローランド・ベルガー代表取締役社長、工学博士。<br>

早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「AI現場力 和ノベーションで圧倒的に強くなる」「日本型インダストリー4.0」(いずれも日本経済新聞出版社)。 長島 聡氏(ながしま さとし)
ローランド・ベルガー代表取締役社長、工学博士。
早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「AI現場力 和ノベーションで圧倒的に強くなる」「日本型インダストリー4.0」(いずれも日本経済新聞出版社)。

長島 榎本さんとは、ダイハツ工業の谷本敦彦さん(理事・Dブランドオフィス主査 兼 法人事業部部長)からのご紹介でお会いしたんでしたね。108つのアイデアを出す「煩悩プロジェクト」など、様々な興味深い取り組みについて、ぜひ詳しくお聞きしたいと思い、対談をお願いしました。まずは、GK京都という会社のことを紹介していただけますか。

榎本 GKグループは1952年の設立で、日本のフリーランスデザイン事務所では草分けと言えます。もともとは東京芸術大学の小池岩太郎教授のもとに集まった学生たちが、戦後間もない荒廃した日本に「モノの民主化、美の民主化」を、というスローガンを掲げて活動を始めたのがきっかけで、「Group of Koike」からGKと名乗るようになりました。

長島 「民主化」という言葉は、この連載でも何度か登場しています。カブクの稲田雅彦社長(「ものづくりの民主化」はロックだ!)や、エクサウィザーズの春田真会長(情熱ある人同士が化学反応を起こす触媒に)らが言及されていますね。よい技術を広めていくことで、誰もが価値を生む担い手になれるんだと。

榎本 そうですね。我々の大先輩である創業期のメンバーは、モノが行き渡ろうとする時代に、それまで伝統工芸の世界に限定されてきた「美」が、一般的な生活の場面にも求められるようになると考えました。先を読んでいたんですね。

長島 今でも新しい視点ですよね。京都の会社はどういう経緯で発足したんですか。

榎本 まず、1970年の大阪万博がGKにとって飛躍のきっかけになりました。パビリオン以外のベンチや案内表示、照明、ゴミ箱など、いわゆるストリート・ファニチャーの設計をGKが担当したのです。その後、73年に世界インダストリアルデザイン会議が京都で開かれることになり、その実行委員長にGKインダストリアルデザイン研究所の所長だった栄久庵憲司元会長が就任されました。その準備室をベースに72年に設立したのがGK京都(当時 京都デザインセンター)です。

 東京のグループ本社は規模が大きくなるにつれて、グラフィックやプロダクトなど領域ごとに分社して専門性を高めていきました。一方、京都はコンパクトながら、プランニングやUI(ユーザー・インターフェース)、環境といった分野も包含しながら、総合性を強みに活動してきました。

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