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英国海兵隊に学ぶリスクマネジメント

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森友・加計問題...忖度は戦場なら悲劇

マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー 岩本仁氏

武田テバ、部門の壁越え理解深める

 マッキニーロジャーズが組織強化の支援で関与したケースに、武田薬品工業とイスラエルのテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズが共同出資する武田テバファーマ(名古屋市)がある。オフ・パテント・ドラッグ(特許期間が満了した医薬品)を手掛ける同社は、主力製品中心の成長モデルへ転換するために生産品目の削減を決めたが、当初は受け止め方に製造部門と営業部門の間で微妙な温度差があった。

 営業部門にとっては安定調達に心を砕く医療現場の反発が気がかり。一方、製造部門はこのまま事業が縮小均衡に進むのではないかという懸念があった。

 削減品目は自社で重複している製品と製造にリスクを抱えている製品が中心なので、供給に穴が空かないことや生産品目絞り込み後の将来像を、社内の隅々まで共有するにはどうしたらよいか考える必要があった。経営主導のプロジェクトチームだけでは一過性になってしまう恐れもある。会社の大黒柱に育っていく現場リーダー格の社員を集め「ビジョン大使」というチームを立ち上げた。

 ビジョン大使による活動の目的は社内の異なる部門同士が専門分野の壁を越え互いを学び理解すること。現場の肌感覚で研修用ビデオを作り、4人1組で1回につき60~80人が対象のワークショップを運営し、全社員2000人に実施した。
 
 ビジョン大使は必ず部門を越えた担当がチームになってワークショップを受け持った。社内で1人も残さず伝える。そのため、各職場の目線に合わせて話題を選ぶ。こうした工夫は全てビジョン大使の社員が自ら考えたものだ。

 軍隊で士官が20代の頃からリーダーシップをたたき込まれるように、企業でも若いリーダー候補生に組織融和を考える経験を積ませた方が良い。将来さらに上の階層でマネジメントを担うようになった時、若い時に染みついた経験がますます生かされる。部下に忖度させてしまうような上司には育たないはずだ。





岩本 仁(いわもと じん)


マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー

ブーズ・アレン&ハミルトンを経て、シック米国本社グローバルビジネスディレクター、シック・アジア太平洋担当VP 兼シックジャパン社長、MHD ディアジオ・モエ・ヘネシー社長兼CEO 等、15年に渡り経営最前線を指揮。2008年10月より現職。グローバル企業の組織変革のプロフェッショナルとして、特にM&A後、JV等、複雑な組織のマネジメントに精通。過去に東京工業大学空手部コーチや世田谷区立八幡小学校PTA会長など、コミュニティ活動にも積極的に関与。東京工業大学情報科学科卒業。



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