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泉田良輔の「新・日本産業鳥瞰図」

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マイクロソフトが再び輝くための成長のカギとは?

GFリサーチ 泉田良輔氏

 マイクロソフトは2015年、業績開示における事業セグメントの変更を行った。いわば事業の分類変更であり、事業の内容自体が変わったわけではないが、経営者が自社の事業動向を把握する際の見方を変えたという点で注目に値する。

 主な新セグメントは、「Productivity and Business Process:生産性とビジネスプロセス(以下、PBP)」「Intelligent Cloud:インテリジェントクラウド(以下、IC)」「More Personal Computing:さらなる個人向けコンピューティング(以下、MPC)」の3つである。

 PBPにはWordやExcelのようなOffice製品や、メールやスケジュール管理ができるOffice 365のようなクラウドサービス、前述したリンクトインなどが含まれる。ICにはAzure(アジュール)と総称する法人向けのクラウドサービスやサーバー向けソフトウエア製品などが含まれる。MPCにはWindowsのほか、Xbox(エックスボックス)のようなゲーム機、Surface(サーフェス)のようなハードウエア一体型製品が含まれている。

 では、セグメントごとの収益はどのようになっているのであろうか。

 下図は2014年度(2015年6月期)から2016年度(2017年6月期)までのセグメントごとの売上高と営業利益を示したものである。

<b>マイクロソフトのセグメント別売上高と営業利益(10億ドル)</b> 出所:会社資料をもとにGFリサーチ作成

マイクロソフトのセグメント別売上高と営業利益(10億ドル) 出所:会社資料をもとにGFリサーチ作成

 ここから言えるのは、この3年間を見る限り業績改善の決定打がまだ見えないことだ。株式市場で注目度の高いAzureが含まれるICの売上高は増収トレンドではあるものの、全社の収益に貢献しているとはいいがたい。Office製品を含むPBPは利益水準は比較的高いが減益傾向である。Windowsを含むMPCは増益トレンドであるが、売上高が落ちている。ナデラ氏の経営手腕への期待値は高いものの、変革は道半ばといったところであろうか。

 クラウドサービスの拡大は注目度の高い業績改善策の1つだろう。Azureの売上高は過去1年の四半期ごとに見れば、対前年同期比で90~116%増の驚異的なペースで拡大している。マイクロソフトには様々な製品やサービスがあるが、成長率の高さで突出する事業であることは言うまでもない。

 ただ、繰り返しになるが、同社のこれまでのコア事業でもあり、新たなセグメント別でも最大の利益を計上するPBPの一層の成長が全社の利益を押し上げる際にはカギとなる。

 PBPで注目すべきはやはりOffice関連事業である。Officeは法人向けクラウドサービスおよび製品ライセンス販売で構成する「Office Commercial」(※1)と、家庭向けクラウドサービスおよび製品ライセンス販売で構成する「Office Consumer」(※2)に大別されるが、それぞれ売り上げは堅調に伸びている。「Office Commercial」の売上高は過去1年において四半期ごとに見れば、対前年同期比で1桁台後半から10%程度で成長している。同様に「Office Consumer」の売上高は3%から20%程度の成長をしている。

(※1)Office Commercialは、法人向けOffice 365、法人向けOfficeソフトウエアのライセンス販売、法人向けOffice関連のサーバーソフトウエア製品(Exchange、SharePoint、Skype for Business、Teamsなど)で構成する。出典:「Microsoft Annual Report 2017」

(※2)Office Consumerは家庭向けOffice 365、家庭向けOfficeソフトウエアのライセンス販売、家庭向けOffice関連サービス(例Skype、Outlook.com、OneDrive)で構成する。出典:「Microsoft Annual Report 2017」

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