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健康診断という「病」

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残業や休日出勤で過労死しない方法とは?

亀田高志 氏

 このリスクの考え方を基に、健康管理として厚生労働省によって強調されてきたのが、課長さんが話した「医師の面接指導」です。ちなみに会社が義務として医師の面接指導を行う対象者は次の3つの条件を満たした場合に限られます。

休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超えて1カ月100時間超の時間外労働を行った従業員
その人の疲労の蓄積が著しい場合
さらにその人が医師の面接指導を受けたいと申し出た場合


 ちなみに9時始業、17時半終業で昼休みが1時間で週休2日の場合に、所定労働時間が週37時間半になります。週40時間換算ですから、100時間超えかを計算するには残業時間と休日出勤した時間から週あたり2時間半、差し引かなければなりません。

 さて、Gさんが「医師の面接指導は過重労働の根本的な解決にはならない」と言うのは、あながち間違いではありません。

 職場の健康管理で原則とされる「5管理の考え方」によれば、

総括管理と呼ばれる全社の体制と仕組みで、残業や休日出勤(休出)を削減する対策
作業環境管理と呼ばれる枠組みで、職場単位で残業や休出を減らす対策
作業管理として、個人ごとに代休や勤務時間を調整し、残業や休出を少なくする対応
労働衛生・健康教育として、過重労働による健康影響とその防止策の周知と徹底をまず行うべきです。これらを尽くしてもどうしても残業が減らない従業員に対して、
健康管理として、医師による診察や検査を行う


 というのが5管理の考え方です。

 しかし現実には、この医師の面接指導が一人歩きしている感があります。

 ちなみに、法律上は会社が医師の面接指導を「行わなければならない」と書かれているのですが、これを定めている労働安全衛生法には現在では罰則の定めがありません。もちろん、旧労働省の時代から時間外労働の削減を会社は求められてきました。しかし、そうした状況はこれまで必ずしも改善されてはいません。あくまでも過重労働に対しての健康管理は、いわばセーフティネットとしての医師の面接指導にとどまっているのです。

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