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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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平成の「戦国武将」が日本経済を元気にする(後編)

レオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト、栗岡大介氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。今回はレオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト、栗岡大介氏との対談の後編です。前編は全国各地で勃興する成長企業の戦いを「応仁の乱」になぞらえ、「武将」たちのユニークな経営戦略を紹介していただきました。後編では、地方で流通企業が台頭する背景や、日本の部品企業が世界のイノベーションを支えている事例をもとに、日本企業が成長を続けていく条件を探りました。

スケールディープする企業が伸びる

石川 善樹氏(いしかわ よしき)<br>

1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『ノーリバウンドダイエット』(法研)、『うかつに仕事をはじめるな』『疲れない脳をつくる生活習慣』(ともにプレジデント)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。 石川 善樹氏(いしかわ よしき)
1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『ノーリバウンドダイエット』(法研)、『うかつに仕事をはじめるな』『疲れない脳をつくる生活習慣』(ともにプレジデント)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 前編では全国で台頭する成長企業を紹介していただきました。東京にいると、空っぽな場所から何かを立ち上げることは想像もつかないんだと思いますね。実は辺境の地にこそ、思わぬチャンスがある。

栗岡 東京は物も情報も溢れていますからね。編集者の松岡正剛氏も『フラジャイル 弱さからの出発』(筑摩書房)という著書で、弱きところから文化が生まれると説いています。クリエイティビティーは抑制から生まれるというわけです。東日本大震災で大きな被害を受けた東北からも、面白い会社がたくさん育ってきています。例えば、宮城県仙台市にあるホットマン。

石川 名前からしてホットですね(笑)。

栗岡 はい。本社に行って驚いたのは本社の前でズラリと中古車を売っていたことです(笑)。東京にある上場企業ではまず考えられません。そばには大きな看板があって、イエローハットやTSUTAYA、100円ショップのダイソー、ニコニコレンタカーなど、大手企業のロゴがズラッと並んでいる。巨大なフランチャイジー会社なんです。

石川 超コングロマリット企業なわけですね。

栗岡 やみくもに手を出してるわけではなく、実際にはこの会社はスケールディープしているんです。クルマは東北の人にとって足であり、TSUTAYAやダイソーはエンターテインメントで憩いの場でもある。震災や人口減少を理由に東北から去った企業は多いですが、この会社は逆に東北に深く根を張り地元の人たちのニーズを掘って掘って掘りまくった。その結果、様々な業態の買い物やサービスの利用データもどんどんたまり、それらのシナジーによって儲ける仕組みを構築することが可能になるわけです。

石川 なるほど、さまざまな業態を掛け合わせた、地域密着・拡大の戦略ですね。理にかなっている。

栗岡 そうです。なぜ地方でこういう企業群が台頭しているのかというと、背景には「2025年問題」があります。日本の消費を支えてきた団塊世代が後期高齢者となる75歳に達し、消費が激減すると言われています。それを見据えて、大手の小売りチェーンは少子高齢化が顕著な地方から撤退していく。ところがそれは地方の豪族たちにとっては下克上を行い大名になる為の千載一遇のチャンスなわけです。

 また、地方企業の勃興のもう一つの背景には地方銀行の生き残り競争が挙げられます。長引く低金利や人口減少で地銀は貸出先に困っており、元気な優良企業には競ってお金を貸す傾向がある。豪族たちはキャッシュという「実弾」を手に入れ、大手が退いたせいで拡大したマーケットに次々に攻めていく。きっと「応仁の乱」の時に大名になった豪族たちは「波乱上等である!」といって戦っていたと思います。(笑)

石川 そうですね、動乱のさなかに下克上大名たちが生まれ、地方大名として力をつけて、戦国時代に突入していく。まさに地方では応仁の乱のさなかに日本で起こっていたことが繰り返されていると。

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