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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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平成の「戦国武将」が日本経済を元気にする(前編)

レオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト、栗岡大介氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

石川 そういう創業者たちは見ている世界が違うんでしょうね。何を作ろうとしているのでしょうか。

何もないところに何かを「見立てる」発想

栗岡 それこそが「ワールド」ですよ!(笑)。何もないところから、一つの世界観を作り出す。実は、先ほどの東山文化で様式化された枯山水とも繋がると思うんです。石や砂を水や橋に見立てる。この「見立てる」という発想が、日本の文化や産業を発展させてきたのではないかな、と。何もない「空(うつ)」の場所に、何かを見立てて「写す」。それをプロジェクターに「映す」ことで具体化し、実際に行動に「移す」。それが「現(うつつ)」になるわけです。

石川 ほおー!

栗岡 何もないところに何かを見立てる、「空(うつ)」から「現(うつつ)」を生み出すのが、起業家です。多くの人は「ないものねだり」で終わるけど、成功する人は「あるものさがし」をして、実際に何かを得ています。その力の源となるドライバーは何か。私が見てきた多くの創業者にとって、それは地域や仲間の幸せなんですね。地元への愛や兄弟愛と言い換えてもいい。考えてみると、これは社会起業家の発想です。社会起業家について、初めて学術論文を書いたグレゴリー・ディーズは、「スケールアップ」だけではなく、「スケールディープ」も大事だと言っています。広げるのでなく、深めることも大切であると。

石川 スケールディープの発想は非常に面白いですね。私が米国に留学しているとき、授業で社会起業家に関するケーススタディーがありました。貧困家庭の子どもに教育を受けさせる事業を始めた創業者が悩んでいる。自分は教育をしたかったのに、マネージ(経営)ばかりしている。さてどうすべきか?

栗岡 どういう議論になったのですか。

石川 そもそも、議論の前提が「どうスケールアップするか」だったんですね。そこで、ある生徒が「ちょっと待て、スケールダウンする発想はないのか」と提案したら、米国人の生徒たちはみんな反論して却下されました。でも欧州やアジアからの留学生はみんな、その意見にうなずいていましたね。

栗岡 なるほど、わかる気がします。投資家の間でも、スケールアップする可能性が低いものは敬遠される傾向が強く、石川さんと同じく私も違和感を感じたことがあります。

後編へ続く)

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