日本経済新聞 関連サイト

石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

記事一覧

平成の「戦国武将」が日本経済を元気にする(前編)

レオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト、栗岡大介氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

石川 へえー、面白いですね。例えば、どんな会社ですか。

栗岡 福岡市にあるワールドホールディングスは、もともと製造業を中心とする業務請負ビジネスからスタートし、今は人材・教育、不動産、ITへとどんどん業態を広げ、急成長しています。実は2008年のリーマンショックの際、経営不振に陥ったのですが、伊井田栄吉会長兼社長が一大決心し、信頼のあった地銀から合計300億円もの資金を調達。しかもそのお金で何をしたかというと、同様に不振に陥った同業他社を、社員から借金からみんな含めて引き受けたんです。「みんな仲間だ、家族だ」と。とんでもない武将です。

30億円でなく、300億円だから貸した?

石川 おそらく銀行は30億円だったら貸さなかったと思うんです。300億円だったから貸した。かつて、英ヴァージン・グループが世界で初めて航空機の全座席にスクリーンを付けたとき、創業者のリチャード・ブランソンが1機で20億円の資金を借りようとしたら、どこも貸してくれなかった。そこで、スクリーン付きの航空機をまるごと20機買うから800億円貸せと言ったら、貸してくれたんだそうです。

栗岡 なるほど、さすがオーナー経営者は言うことが違いますね。下着メーカーのグンゼにも似たような話があります。グンゼが創業した京都の何鹿(いかるが)郡(現・綾部市)はもともと養蚕が盛んな地域で、女の子は繁忙期になると学校も行かずに家業を手伝っていました。創業者の波多野鶴吉さんは学校の先生をしていたのですが、「若い女性が学校を出て堂々と働ける場所が必要だ」と考えてグンゼを作ったそうです。グンゼは「郡是」で、郡を良くするという意味なんですよ。

石川 へえー、知りませんでした。

栗岡 当時のグンゼの取引銀行は安田銀行(現・みずほ銀行)で、頭取は「鬼の安田」と呼ばれた安田善次郎でした。業績が悪く、安田さんが文句を言った時も、鶴吉さんは「あなたにはここで働く女工さんの輝く未来が見えないのか」と毅然として言い放ち、その姿に胸打たれた安田さんは融資を継続したという話があります。。

PICKUP[PR]