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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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平成の「戦国武将」が日本経済を元気にする(前編)

レオス・キャピタルワークスのシニア・アナリスト、栗岡大介氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

栗岡 それを象徴するのがキャンピングカーなんですね。もう一つ、「場力」の時代を示す面白い動きがあります。最近、地方を回って気付くのが、新しいホステルやゲストハウス(簡易宿泊施設)が次々にオープンしていることです、近年のインバウンド需要が背景にあるのかなと思って、実際に何軒か訪れてみると、意外に地元の人が多いんです。

石川 地元の人が泊まるんですか?

今の日本は「応仁の乱」の時代に似る

栗岡 大介氏(くりおか だいすけ)<br>

1985年生まれ。高校3年時に米カンザス州のバッファロー牧場へ1年間ホームステイしたことをキッカケにニューヨーク州立大学へ。在学中は、韓国やドミニカ共和国への留学も経験したほか、 内閣府主催の国際交流イベントのコーディネーターも務める。卒業後は岡三証券に入社。機関投資家向け営業でトップセールスに。2013年3月にレオス・キャピタルワークスに転職、アナリストとして運用部に配属。強みは足を使ったリサーチのほか、日常の変化をマーケットに落とし込むこと。また、両親が画家ということもあり写真、ドローイング、料理、陶芸など趣味は多岐にわたる。 栗岡 大介氏(くりおか だいすけ)
1985年生まれ。高校3年時に米カンザス州のバッファロー牧場へ1年間ホームステイしたことをキッカケにニューヨーク州立大学へ。在学中は、韓国やドミニカ共和国への留学も経験したほか、 内閣府主催の国際交流イベントのコーディネーターも務める。卒業後は岡三証券に入社。機関投資家向け営業でトップセールスに。2013年3月にレオス・キャピタルワークスに転職、アナリストとして運用部に配属。強みは足を使ったリサーチのほか、日常の変化をマーケットに落とし込むこと。また、両親が画家ということもあり写真、ドローイング、料理、陶芸など趣味は多岐にわたる。

栗岡 いえ喋りに来ているんです。最近のゲストハウスの1階はお洒落なレストランやバーがあり、2階が宿泊施設になっています。1階のバーは、宿泊客だけでなく、地元の人が語り合う「場所」になっているのです。先日、福岡で泊まった「B&C Gakubuchi」というホステルは、「泊まれるスナック」というコンセプトで、なんとも不思議な空間でした。

石川 どんな雰囲気なんですか?

栗岡 最初は取っ付きにくいというか、商売っ気が全くないんですよ(笑)。でもチェックインすると、ママが地元のおいしいお店を教えてくれたりして、だんだん打ち解けていく。そのうち、ママが他のお客さんに僕のことを紹介して相席になったりする。イメージとしては、『男はつらいよ』の寅さんが旅先で出会った知り合いを連れて、柴又のとらやに帰ってきたような雰囲気ですね。最初はみんな警戒するけど、打ち解けるとすごく温かい。

石川 「場力」があるところには、異なるモノや情報が出会うという共通項がありますね。例えば、クリエーターが集まるカフェの場合、オーナーがいて、常連がいて、オーナーが常連同士をつなげてくれる。それを見ている観客もいて、いずれ常連になっていく。昔は新宿ゴールデン街とか、そういう場所がいくつもあったんでしょうね。今はスタバのように観客しかいない場所が多い。でも昔のような場所が少しずつ復活してるんですかね。

栗岡 時代をさらに遡ってみると、「場力」で成長した典型があります。室町時代の「応仁の乱」で京都が焼け野原になった後、足利義政が東山山荘を作りました。後に銀閣寺ができる場所です。これも1つのゲストハウスのような場所だと思うんですね。言ってみれば数寄者(すきもの)と呼ばれた義政がオーナーで、当時の文化人である茶人や歌人、禅僧らが集まり、枯山水など「わび・さび」の文化が花開きました。さらに幕府の衰退により、地方豪族が力を付け、こうした文化人を受け入れ、新たなカルチャーを育む場所を地方にも作った。今、全国各地のゲストハウスに国内外の人が集まり、新しい文化を生む場が広がっている。まさに応仁の乱期の日本と似ているなと思います。

石川 やはり場所の持つ影響力が強まっているんですね。そういう観点で茶室を見てみると、とっても面白いですよね。将軍のようなエラい人も頭を下げて部屋に入る。そして、皆と同じようにゆったりした時間を過ごし、コミュニケーションを楽しむ。混乱の時代こそ、「茶の湯」的な場所が求められるんでしょうかね。

栗岡 そう思います。現代は既存のシステムが行き詰まり、権威が揺らいでいるという点でも「応仁の乱」の時代に似ています。戦後の日本をけん引した大企業の不祥事や破綻が相次ぐ一方で、地方では独自の経営哲学で成長している企業が次々と誕生しています。まさに、「地方大名」がどんどん生まれているのです。私は4年前に今の資産運用会社に移って以降、各地の企業をアナリストの目で見てきましたが、当時は限られた地域で豪剣を振るっていた社長が、会うたびに事業規模が拡大し、今や堂々たる地方大名になっていて驚きます(笑)。

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