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石澤卓志の「新・都市論」

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「2022年問題」より深刻な都市のスポンジ化

みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

 現在の住宅市場は、①都心部の高額物件、②都心近郊の比較的低廉な物件、③郊外部の利便性が劣る物件に「3極化」していると言える。このうち①は希少性が高く、投資用としての需要もあるため、高額にもかかわらず売れ行きが好調である。また最近では②に注目する住宅購入者が増えている。今年9月に公表された基準地価では、東京23区・住宅地の上昇率トップテンのうち5地点を北東部(南千住、西日暮里、中里、上中里、綾瀬)が占めた。

 これらの地点は、住宅地としてのブランドイメージは必ずしも高くないものの、上野東京ラインやTX(つくばエクスプレス)の沿線に位置し、交通利便性は高い。都心部物件の価格が髙くなり過ぎたため、「名よりも実」を重視する住宅購入者が増えた。

 東京都内に現存する農地は、上記①の都心部には存在せず、②の都心近郊も少なく、ほとんどが③の利便性が劣る地域に位置する。2022年以降に、生産緑地の指定解除によって住宅供給が増加しても、③の地域の住宅価格がさらに低下するだけで、①の都心部物件にはほとんど影響がなく、②の都心近郊物件については、価格上昇テンポが鈍化してユーザーが購入しやすくなる効果を生むと予想される。

生産緑地は「例外的措置」から「貴重な資源」に変化

 制度面でも「2022年問題」への対応が講じられている。「生産緑地法」が改正された1991年には、住宅地を確保することが政策の重要課題だった。それから約30年を経て状況は大きく変わり、2015年4月に制定された「都市農業振興基本法」や、2016年5月に閣議決定された「都市農業振興基本計画」において、生産緑地等は、都市の環境を保全する貴重な資源と捉えられるようになった。

 2017年4月に「生産緑地法」の一部改正を含む都市緑地法等の改正案が成立した。これによって、「指定後30年」を経過した生産緑地は、「特定生産緑地」として再指定を受け、買い取り申し出時期を10年間延期できることになった。さらに、指定面積の下限が、従前の500㎡から300㎡に引き下げられ、小規模な農家でも指定を受けられるようになった(図表3)。

図表3:特定生産緑地制度の概要 出所:国土交通省 出所:国土交通省

 このほか、「自ら耕作」の要件も見直され、NPOや民間企業などの「都市農業者」に農地を貸し出す制度が検討されている。農地を賃借すると、「賃借小作権」を得た借り手の立場が強くなるが、農地が確実に所有者に返還される(農地法17条の「法定更新」が適用されない)措置も検討されている。借家契約の満了によって、借り手の権利が消滅する「定期借家権」に類似の制度と言える。

 さらに11月17日に、自民党の政務調査会・国土交通部会において、特定生産緑地に対する固定資産税・相続税の優遇措置や、特定生産緑地に指定されない緑地に対する税負担の軽減などの措置が了承され、税制面の枠組みもほぼ固まったと言える。

 このように、生産緑地の立地状況や、制度面の対応状況を検討してみると、実際に「2022年問題」が発生する可能性は低いと思われる。

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