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パクリ商標

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腕時計「ミュラー」に勝訴した「三浦」

知財コミュニケーション研究所代表、弁理士 新井 信昭氏

「シャネル」訴訟は不正競争防止法違反を認定

 この不正競争防止法に基づいた最高裁の判例をご紹介します。「フランク三浦」事件と真逆の結論が出されました(平成10年9月10日第一小法廷判決)。それは、フランスのシャネル社が、千葉県松戸市にある「スナックシャネル」を不正競争防止法違反で訴えた事件です。スナック側による、客層がまったく違うから「高級ブランドと場末のスナックを混同するわけがない」という主張を最高裁は認めず、「スナックシャネル」の使用はまかりならんと判断しました。

 シャネルのある東京・銀座と千葉の一地方都市という地域性と住民性とでも言いますか、先ほどの『フランク ミュラー』の件と似ている部分があります。が、『フランク三浦』事件の結果と全く逆の結論であることがおわかりいただけると思います。混同しなければよしというのではなく、ブランドを保護しようという考えが強くにじみ出た判決だと思います。

 フランク三浦事件は商標法の世界の話で、こちらは前に親戚みたいなものと言った不正競争防止法の世界の話です。ミュラー社が不正競争防止法違反でディンクス社を訴えたら、今度は違った結論が出るかもしれませんね。

新井 信昭 著 『パクリ商標』(日本経済新聞出版社、2017年)「Ⅳ 最高裁が『フランク三浦』の商標登録を認めたワケ」から

新井 信昭(あらい・のぶあき)

知財コミュニケーション研究所代表、新井・橋本・保坂国際特許事務所パートナー
1954年生まれ。知財コンサル3000件超の知財活用コンサルタント、博士(工学)、技術経営修士(MOT)、弁理士。高卒後、新聞配達やタクシー運転手などで貯めた資金で世界一周の旅に出るなどユニークな経歴を持つ。著書に『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?』。

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