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サテライトオフィスは働き方を変えるか?(後編)

究極の働き方改革「ライフワーキング」を実現

JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

 「働き方改革」を含め、人を中心としたビジネスの議論が経済全体にとって、かつてない程の重要性を持ち始めています。企業が稼ぐには経営資源が必要ですが、最も限りのある経営資源は、人が企業に提供する時間ではないでしょうか。時短が叫ばれている中、限られた時間の中で、オフィスにおいても人が幸福度高く充実した時間を、健康に過ごすことが求められるようになりました。サテライトオフィスがその実現の手段として注目されていますが、前編に引き続き、セールスフォース・ドットコム(以下Salesforce)の事例を紹介しながら、真のワークライフバランス=「ライフワーキング」というテーマを検証します。

 Salesforceがサテライトオフィスを「働き方改革」実践の場とし、20%の生産性向上を実現させていることが大きな話題を呼んでいます。成功の理由は、社会貢献とビジネスモデルを融合させた「1-1-1モデル」の実践と、それを支える企業文化であるOhana文化を、サテライトオフィスにおいても体現していることにあるようです。

 サテライトオフィスの場所は和歌山県南部の白浜町。ハワイのワイキキビーチとの姉妹浜である砂浜と海岸の美しい景色が一望できる高台にあり、白浜オフィスと呼ばれています。ハワイのヤシの木、砂浜、海岸に打ち寄せる波といったハワイのイメージからSalesforceの文化が生まれたとのことですから、同社のサテライトオフィスとしては最適な環境にあります。

白浜町にあるセールスフォース・ドットコムのオフィス 白浜町にあるセールスフォース・ドットコムのオフィス

 Ohana(オハナ)とはハワイ語で、団結し、互いに責任を持つ家族という意味があるようです。Ohana文化はSalesforce社内で育まれて深く根付いた企業カルチャーで、今では家族の範囲が、従業員からパートナー、お客様、地域コミュニティにまで広がっているとのことです。協力し合い、互いを気遣い、一緒に楽しみ、周囲の人々と根本的な人間レベルでつながる。それにより、各自が周囲の世界を良くすることに責任を負うという企業文化だとのことです。

 「時短だけでは働き方は変わらない」とするSalesforceの白浜オフィス長の吉野隆生氏に、「働き方は本当に変えられるのか?」というテーマでうかがったお話を前回に引き続きご紹介します。同社の社員がサテライトオフィスでの働き方の変化によって、生産性高く、活き活きと働いている理由を探ることによって、「働き方改革」を通して実現するワークとライフの在り方が見えてきます。

白浜オフィスの「働き方改革」の進め方

――独自の「働き方改革」のプログラムがあるとのことですが、ご紹介いただけますか?

 白浜オフィスに配属初日のオリエンテーションで、赴任期間の3カ月間で何をしたいかという発表を各メンバーにやってもらいます。下記の図が示すように、まずは、「自分の業務のこの部分を達成させる」とか、「友達何人つくる」とか、やりたいことを細かくポストイットに書き、仕事とプライベート、いわばワークとライフ、自己完結できるもの(インサイド)と他者のサポートが必要なもの(アウトサイド)の軸で分けて、貼り付けてマッピングしていきます。そうすると、大体が右下寄りになります。どの形が悪いということではなくて、自分の偏りを認識してもらうことからスタートします。

 次に「その中で東京でもできていたことは、そのポストイットを剥がしてください!」とします。すると大体のものが剝がれるんですよね。そして、残ったことに関して、「なぜ東京オフィスではできなかったこと、やらなかったことを白浜オフィスだったらやろうと思ったのか」を自問自答した後に全員の前で発表をしてもらいます。「自分はこれを白浜オフィスだからやりたい!」というものを明確にしてもらって、3カ月間それを達成するために自発的に行動してもらう方法をとっています。

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