日本経済新聞 関連サイト

なぜ中国人は財布を持たないのか

記事一覧

「不信社会」をスマホが変える中国の今

中島恵 氏

シェアビジネスは、「中国人気質」に合致する

 中国政府は新興産業の育成に力を入れており、その一環としてシェアビジネスがあらゆる方向に広がっている。米国の配車アプリ、ウーバーとほぼ同じシステムの滴滴出行(ディーディーチューシン)に加え、これと似た形態で勢いを伸ばしているのが宅配のシェアビジネスだ。

 中国には「順豊速運(シュンフォンスーユン)」や「円通速(ユエントンスーディー)」などの大手宅配企業があるが、ネットショッピングの拡大で配達員の数が足りず、慢性的な遅配が起こっていた。そこに登場したのが配達のアルバイトだ。といっても、日本人がイメージする時間給のアルバイトとは異なり、ある地区への配達は、その地区の近隣に住む人だけが請け負える「ちょこっとバイト」だ。おおまかな区域までの配達は社員が行い、残り数キロの目的地までを分担してもらうというもの。

 事前にスマホで登録しておき、自分のエリアの仕事が入ったときだけ連絡が来る。いつ仕事が入るか不明だが、ちょうどそのタイミングで手が空いていれば仕事ができるし、所用があれば引き受けないという選択もできる。アルバイトといっても立場は自由で、滴滴出行と同じく、できないときは、その周辺にいる他の人が手を挙げるので問題ない。誰にも縛られず、自分の裁量で自由に決められるのがメリットだ。

 宅配業者は配達員を社員として抱える負担がない上、かなり不便な場所にまで「ちょこっとバイト」をする配達員を確保しておけるというメリットがある。

 大事な荷物なのに、専門の業者が最後まで責任を持って運ばないで管理責任は大丈夫なのか、必ず届くのか、という不安がよぎるが、前述したように、万一のことがあれば芝麻信用でペナルティがつく。

 中国で人気の出前サービスも、ずっと待機させているわけではなく、配達員は複数の飲食店の仕事を掛け持ちで請け負っている。日本でもウーバーイーツなどがサービスを始めているが、この分野でも中国のほうが先行している。

 たとえば「A中華」と「Bピザ」と「C日本料理」があったとして、客は数多い出前アプリの中からその日の気分でA中華を注文したとする。だが、配達してくるのはA中華の専属配達員ではなく、出前配達専門の配達員の中の誰か、ということだ。

この記事は会員限定コンテンツです。
続きを読むには、日経BizGateに会員登録(無料)してください。

最初に日経IDを取得し、その後日経BizGateに利用登録します。
おすすめ記事やキャンペーンをお知らせするメールマガジンもご利用ください。

すでに登録済みの方はログインしてください。

今すぐ登録 ログイン

PICKUP[PR]