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デキる営業が相手を動かす話しをする秘密

東京工業大学大学院特任教授、レジェンダ・コーポレーション 取締役 北澤 孝太郎氏

2.ストーリーで話すとなぜ共感を呼びやすいのでしょうか

●いいストーリーを話す人は信用されやすい

 皆さんは、「アリとキリギリス」「ウサギとカメ」と聞くと、すぐに物語のストーリーを思い浮かべられるでしょう。では、なぜ、皆さんの親や周りの大人は、そのストーリーをあなたに聴かせたのでしょうか。もちろん、その話自体が面白いということもありますが、おおよその目的は、あなたに、油断大敵ということや努力することの大事さに気づいてほしかったからに違いありません。人はストーリーで語られると、押しつけではなく、自分ごととしてとらえ、自分で結論にたどり着いてくれるのです。

 ですから、商品やサービスのことを語るのも、ストーリーに仕立てて話せば、顧客が自ら判断し、意思決定に持ち込める可能性が高くなります。説得する手間、リスクが減ります。また、そのことは、本当の意味で人を動かす秘訣であったりします。理詰めで説得したり、インセンティブで釣ったり、カリスマ性で魅了したりするのは、短期的には効果があるかもしれませんが、本当の意味での信用や信頼にはなりえません。よいストーリーを語る人は、聞き手に結論を押しつけるのではなく、その人の自由意思を引き出して、永続的な信頼を勝ち取ることができるのです。

●いい話は飽きないし、何度でもその人から聴きたいもの

 ストーリーで語るときの秘訣は、思い切り脚色をしていいという点と、何度も同じ話を繰り返すという2点です。何を伝えたいかに焦点を合わせるならば、話は面白い方がいいに決まっています。まったくの嘘はいただけませんが、少しの脚色は話を面白くするため、より臨場感を出すには必要なことと割り切ってください。あわせて、人はどちらかというと成功した話、つまり自慢話よりも、失敗談や修羅場を克服した話を好みます。車のブレーキの性能を語るのに、あの恐ろしいカーブを俺は何キロで回れたといわれるより、雨なのに踏むタイミングを間違えてもう少しで死ぬところだったけれど助かったといわれる方が、心地よいのです。

 あわせて、あなたが話すストーリーは相手の耳に届きやすく洗練されていることが大切です。ですので、何度も繰り返して、微修正します。話し手は、同じ話は相手が飽きるだろうと思いがちですが、そうではありません。子供のとき、面白い話は何度でも聴きたかったですよね。特に教訓などの話は、何度も同じ話をうまく話せる人から聴きたいものなのです。

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