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FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

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気鋭のフィンテック起業家が語る新しいお金の流れ

FIN/SUM WEEK 2017 パネルディスカッションより

鶴岡 BASEをやって思ったのは、お金を稼ぐことだけが幸せではないと思う人がめっちゃいっぱいいて...。最近オフラインのイベントを超やっていて、なぜかというと、皆オフラインで出店したい。BASEを作ったときは、いかに原価を少なくいかに利益を多くみたいなところをずっとフォーカスしてきたが、皆さんの意見を聞くと、やはりリアルで出したいと。「別に儲からなくていい。ここでお客さんと出会えて自分の商品のことを語り合えて、買ってくれなくてもいいのです」と言うオーナーがめちゃくちゃいて。そういう価値観もあるのだな、と教えてもらった。

中村 僕が考えているお金は何かというと、価値の保全。価値の保全とは、徹底的な分散通貨というか、世界に投資ができること。どこかが伸びてどこかがダメでも資本主義が続くのであれば世界経済が続くので、そこに通貨が連動するなら資産が守られる。

 本当はグローバルで投資したほうがグローバルな成長の恩恵を受ける。でも日本人はあまりしない。なぜしないか。日本人は結構幸せなのでは...。

家入 若い人は希望も絶望も持っていない感じだ。豊かなだけに何をしたらいいのかわからないのはある意味つらい。物質的にも豊かになっていて、その先自分たちはどういうふうに生きていけばいいんだということを見失っている若い人が多い。そのときにお金の意味も変わっていくと思う。グラミン銀行が日本にやってくるというのは、びっくりした。バングラデシュ発のマイクロファイナンスが日本にくるというのは大きなことだ。

中村 ウェブ系の人は何かのソリューションがあってそれを解決することをやりたいと...。別にフィンテックをやりたいわけではなくて、世の中にある課題を解決したいからビジネスをやっているし、参加したとよく言っている。社会問題とフィンテックが切っても切り離せないというのはそのとおりだと思う。

 今の日本のフィンテックは法規制を作る側とベンチャーと金融機関と弁護士など専門家のコミュニケーションがきちんとあり、世界でも自慢できるシステムを作りながら日本独自の進化を遂げていると思う。一方でモノを作るときに法規制、ここがこうなったらもっといいサービスが作れるとか、ユーザーにハッピーになってもらえるとかあると思うが...。もちろん消費者保護の観点で、セキュリティーとかそういう前提の下で、何かご意見は。

鶴岡 消費者保護とこれからのテクノロジーの組み合わせはすごく大事なのだろうと思いつつ、そのへんの難しい話はほかの人に任せるとして...。もっともっとインターネットが発展していくと、あったほうがいいことは全部実現されると思う。今年実現するのか10年後に実現するのかというだけの話なので、こうなるよねと思ったことに対して、皆で信じられるといい。それは僕ら側もそうだし、法律を作る側もそう。「そんな未来は来ないでしょう」といった瞬間に夢から覚めてしまうというか。長期的な未来は劇的に変わると思う。そういう未来をいろいろな人たちが作れればいい。

中村 KYC(金融機関の顧客の本人確認)情報はぜんぶ共有化したほうがいい。「日本はアンバンクトでないのでフィンテックは...」という文脈がよくあるが、僕は逆だと思っている。日本では金融機関がインフラになっているが、アンアドバイズド、要は金融機関との物質的なつながりはあっても心理的だとか付加価値についてはまだまだだ。そういうのがフィンテック企業とつながっていって、かつ横の垣根もなくなると、日本のフィンテックはかなり普及すると思っている。

 僕らはクラウドで中小企業を自動化・データ化して、お金をもっとなめらかに必要なところに回していって日本経済を活性化する、みたいなことをやっている。一方で、企業経営者はお金を借りるのも大事だが、それより従業員に喜んでもらうとか、お客さんに喜んでもらうとか、リアルな場でお会いすることによって感動があるとか。そういうことが僕の視点から最近消えていたな、というところが反省としてある。それをどうやってテクノロジーでできるのかとか、サービスとしてやるのか、というのが今日宿題でもらった感じだ。皆さん思いを持ってサービスを作られているし、いろいろ障壁があるが、それを楽しくきっちり対応しながら夢を持って進んでいけたら、日本のフィンテックがよくなるのではないかと今日のセッションを聞いていて思った。


(日本経済新聞社 FIN/SUM事務局)

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