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FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

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気鋭のフィンテック起業家が語る新しいお金の流れ

FIN/SUM WEEK 2017 パネルディスカッションより

 そして、中村さん。

中村 野村証券に11年間在籍した後、お金のデザインに昨年入り、今年3月から社長を務めている。会社設立は2013年。「人とお金の新しい関係をつくる」をミッションに、ロボアドバイザーをベースとしてビジネスを展開している。500万円から利用できるETF(上場投資信託)特化型投資一任運用サービスを2014年にスタートし、昨年2月には10万円からスタートできるTHEOというロボアドバイザーを展開した。その後も、iDeCo(個人型確定拠出年金)分野に参入したり、金融機関向けのシステム開発を始めたりしている。

家入一真氏(CAMPFIRE代表取締役社長) 家入一真氏(CAMPFIRE代表取締役社長)

家入 若い人と接していると、社会に対する価値観や意識が非常に高まっていると思う。資産運用したいからお金を投資したいというより、NPOバンクやマイクロファイナンスなどがもっとできてくると、若い人たちがそちらにお金を回すのではないか。

中村 「貯蓄から投資」は機能であって目的ではない。人が自分らしく生きるためにお金は絶対に必要。でも不安だったら思い切ってできないので、いろいろなフィンテック企業を組み合わせることによって、お金の不安から解放させる。そうすると自分らしい生き方ができる、ということにつながるのでは。

 大量生産・大量消費の時代は、金融機関もお金持ちを対象にしたほうが収益も上がって合理的だった。フィンテックはインターネット×金融で、インターネットはブロックチェーンに代表される分散型だ。今まで金融サービスを受けられなかった層にも、低コストでリーチできるようになるので、そこでもビジネスが成り立つようになってくるイメージがある。

中村 決済ビジネスはアップルペイなど群雄割拠だが、勝つ要素についてどう考えているのか。

中村仁氏(お金のデザイン代表取締役社長CEO) 中村仁氏(お金のデザイン代表取締役社長CEO)

鶴岡 コンビニの電子決済を僕たちのQRにするというのは無理。ただ、ウチの向かいのコーヒー店は現金しか使えないが、ここを大きい決済会社の営業マンが取りにいくと圧倒的にコストが合わない。BASEは1ショップあたり数十円で獲得している。大会社とはコストがぜんぜん違う。既存の恩恵を受けている人をもっと楽にするというのはそんなに興味がない。今、恩恵を受けていない人にどれだけ恩恵を及ぼせるかというのが最大のテーマだと思ってやっている。

 どういう思いでプロダクトづくりをしているか。

鶴岡 インターネットやそこで表現できるインターフェースに無限の可能性を感じていて、僕らの武器はそこしかないと考えている。逆にどんな領域でもインターネットでひっくり返すことができると思う。「それやりたいな」と強く思えることが一番大事。それがたまたまECと決済で、「ここだったら僕のインプットを全部活用してもいいな」と思った。市場調査などはしたことない。

家入 メルカリが出てきた当初も「ヤフオクがあるからうまくいかないのでは」と言う人が結構いた。今の状況を誰も想像できていなかった。市場から考えるのも大事な面はあるだろうが、一方で、僕らベンチャーは巨象に向かっていくとつぶされるので、巨象が気づかないところで片足だけ落ちるような穴を一所懸命掘ってなんとかひっくり返せたらそれでいい...、そういう感じの戦い方なのだろうなと思う。

少数のファンによる「小さな経済圏」が広がる

 お金の概念を最近よく考えるが、ネットはグローバルだし国を越える存在なので、国を超える通貨や金融サービスが出てきても何の不思議もない。その一方で、人間の欲は無限大なので、ルールは当然作らねばならず、そこはバランスなのかなと思っている。お金について僕らはどう考えたらいいのか。

鶴岡 10年前だと「このお皿5万円」と決めたところで、誰も見つけてくれないので売れない。ところが、これだけインターネットが発展すると、これを5万円と感じてくれる同じ価値観の人と出会える可能性がめちゃくちゃ増えていると感じている。BASEのトランザクションが増えているのは本当にその恩恵しかない。

家入 鶴岡さんと「小さな経済圏」という話をよくする。日本中の人に売れるショップを出すというよりは、本当に愛してくれる少数のファンを作ってその中で経済を回して生きていくような...。大きく儲かりはしないが死にもしない、セーフティネットも兼ねるかもしれないが、そういう経済圏を作って生きていくという人が、本当に増えていると実感している。大きいことがいいことだという時代から、大きいと逃げ遅れるという感じになっていて、いかに小気味よく小さくモノを立ち上げて経済を回していくかという感じになっている。

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