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日本株は過去21年の常識を覆す大相場に発展か

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

テクニカルな観点並びに対ユーロでもドルは強気へ

 なお、対円でのドルの値動きを示す月足チャート上にいくつかのテクニカル分析のツールを反映させてみた場合に、ここにきてやや強気のサインが見て取れるようになっているということもここで確認しておかれたい。

 下図にも見られるとおり、まずは10月の月足・終値が「今年になって初めて31カ月移動平均線(31カ月線・記事執筆時点は113円46銭に位置)を上抜けた」という点が大いに注目される。実は、対円でのドルの月足ロウソクは昨年(2016年)4月に終値で31カ月線を下抜け、その後はブレグジット・ショックの余波もあってしばらく停滞していた。昨年11月以降は、いわゆる「トランプ・ラリー」でひと騒ぎしたものの、今年1月以降は再び31カ月線を下抜けて、9月までずっと31カ月線が上値抵抗として意識される格好になっていた。なお、古くは2012年11月に月足ロウソクが31カ月線を上抜けたことから、以降の上げが急ピッチになったという事例もある。

月足ベースで見たドル/円の一目均衡表

 そんな31カ月線を、ようやく10月の月足・終値で上抜いた意味は決して小さくないと思われる。少し長い目で一目均衡表の月足「雲」上限を上抜けると、それはいわゆる"晴れ"のサインと見なされるようになり、対円でのドルの上値余地も拡がって行くと考えられる。11月以降も、この月足ロウソクといくつかの節目との関係性には注目しておいていただきたい。
 
 加えて、前回の記事でも少し触れたが、やはり当面は欧州の政治情勢の混乱、右傾化の流れなどに監視の目を光らせておきながら、それが一段のユーロ安の要因にならないか見定めておくことも重要と思われる。

 前回は9月に行われたドイツ連邦議会(下院)選挙について少し触れたが、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の連立政権樹立への道のりはまだ遠い模様である。また、10月15日にオーストリアで行われた国民議会(下院)選では中道右派の国民党が第1党となり、すでに国民党党首のクルツ外相は政権樹立に向けて第3党の極右、自由党との連立交渉に入る意向を正式に表明した。

 さらに、10月20~21日に行われたチェコの下院選挙では、EUの難民政策などに批判的な実業家、アンドレイ・バビシュ氏が率いる新興の中道政党が圧勝。バビシュ氏はオーストリア国民党のクルツ党首やハンガリーのオルバン首相ら東欧の右派政権と連携する意向を示しており、今後EUが対応に苦慮することとなるのは間違いない。こうしたことにより、今後ユーロ圏内で再び右傾化が鮮明となり、独仏を中心とした欧州統合の動きにブレーキがかかる恐れはおおいにあろう。それどころか、いわゆる「反EU」の流れが一気に強まれば、果ては共通通貨としてのユーロの価値そのものが損なわれる事態にも発展しかねない。

 そして良かれ悪しかれ、結果的には相対的にドルの価値が勝ることとなり、それは対円でのドルの値動きにも反映されることになると見られる。今後、対ユーロでのドル高に加え、米税制改革案の成立、ドル(対円)のテクニカルな強気サイン点灯など諸々の条件が整えば、年末年始に向けて再び1ドル=118円台後半あたりの水準を試す可能性もあるものと個人的には考える。

田嶋 智太郎(たじま ともたろう)

1964年生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後は数年間、名古屋文化短期大学にて「経営学概論」「生活情報論」の講座を受け持つ。金融・経済全般から企業経営、資産運用まで幅広く分析・研究。新聞、雑誌、Webに多数連載を持つほか、講演会、セミナー、研修等の講師や、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。主な著書に「財産見直しマニュアル」(ぱる出版)、「外貨でトクする本」(ダイヤモンド社)、「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)、「はじめてのFX『儲け』のコツ」(アルケミックス)、「日本経済沈没!今から資産を守る35の方法」(西東社)、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」(自由国民社)など。

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