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日本株は過去21年の常識を覆す大相場に発展か

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 そもそも"近年の常識的なレベル"というモノサシ自体が、あまり意味をなさなくなってくる可能性さえある。それは、もはや日経平均株価が平成バブル崩壊後の戻り高値=2万2666円を超える動きとなってきたからであり、これは一つの「歴史(的事象)」と言っていいだろう。

 つまり、今私たちはまさに歴史的な事象を目の当たりにしているのである。多くの証券マンはじめ、金融マン、投資家の皆さんは2万2000円台より上の日経平均株価を体験したことがないのである。しかるに、そこは"近年の常識的なレベル"などというモノサシが通用するところではないのかもしれない。なにしろ、平成バブル期は一時的にも日経平均株価の予想PERが60倍超などというあきれた水準に達したこともあったわけである。もちろん、それは異常としか言いようがなく、そのような時代が再び訪れることは今後決してない、あってはならないと思われる。

 ただ、同じ平成バブル期に「日経500種平均株価」がつけた最高値=2406円(1989年12月)に対して、足下(11月6日時点)の値が2160円と、当時比にして89%の水準にまで迫っているという事実は、やはり見逃せないものと言えるだろう。周知のとおり、日経平均株価の平成バブル当時の最高値は3万8915円(1989年12月)であり、その89%と言えば3万円超という値になる。

 ちなみに、日経500種平均株価というのは、東京証券取引所市場第1部に上場する500銘柄を対象に、日経平均株価と同じく「ダウ式平均」という方式によって算出される(時価総額加重平均方式で算出されるTOPIXやマザーズ指数とは異なる)株価指数で、言うなれば日経平均株価とは兄弟のような関係にある。よって今後、日経平均株価の予想PERが60倍超などという異常値を示すことはあり得ないにしても、長い目で3万円を超えてくる可能性ぐらいはおおいにあっていいということになろう。

 言うまでもなく、このところの株価急上昇の立役者は、1つに海外投資家である。彼らは、日本人が思う以上に先の衆議院選挙で与党が大勝したことによって政権が安定していることを評価し、同時に今後も安倍首相と黒田日銀総裁の手によってアベノミクスが引き継がれて行くことへの期待を強めている。そして、彼らは再び日本の大型優良株や値がさハイテク株などに触手を伸ばし始めており、そうした個別銘柄の寄与度が高い日経平均株価の伸びをより高いものにしている。もちろん、日銀も指数連動型の上場投資信託(ETF)を通じて海外投資家と同じような銘柄を買い入れることとなり、最近は需給がますますタイトになってきている模様である。

 なおも、北朝鮮をはじめとした地政学的リスクへの警戒は完全には解けないが、大きな流れは"過去21年の常識"を覆すほどの"大相場"へと向かう展開になってきているものと思われる。

米税制改革案成立ならドル・日本株は一段高

 もちろん、日本株が目を見張るような"大相場"へと発展して行くためには、ある程度の円安・ドル高の後押しもあると、なおありがたい。もちろん、世界に羽ばたく日本の企業はその大半が以前よりもずっと円高への耐性を高めており、逆に以前ほど円安のメリットが享受できないケースもあろう。また、近視眼的には「株価の為替離れ」を1つの現象として取り沙汰してみたりする風潮もあり、また海外投資家にとってみれば、あまり円安方向になびかない方がドル建て日経平均株価上昇の恩恵を受けやすいということもある。

 とはいえ、やはり少なからぬ国内企業にとっての円安メリットというものは現存するし、市場のムードとしても円安・ドル高のときの方がリスクオンに傾きやすい。何より、やはりドルが真の強みを発揮している状態、つまり米国経済が力強く成長を遂げている状態が続いていることこそが、回り回って国内企業のビジネス・チャンスをも大きく拡げてくれることとなるのだ。

 いつも本連載では述べているが、誰の目にも米国の雇用情勢は極めて良好な状態を続けており、そのことは多少時間をかけながらも必ずいずれ「賃上げ」から「消費増」「物価高」「インフレ」へと結びついて行くはずである。米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にはジェローム・パウエル理事が指名されることとなったが、このことも少し長い目では景気刺激的であり、インフレ誘発的と言える。パウエル氏はハト派であるとされるが、その方が後々インフレの炎は燃え上がりやすく、経済はより一層バブルの様相を呈しやすい。それは結果的に米金利上昇の引き金を引くこととなるだろうし、同時にドル買い材料ともなるであろう。

 周知のとおり、年末までには米税制改革法案の行方もハッキリしてくるものと見られる。ある程度の妥協は致し方ないとしても、最大の焦点である連邦法人税率の恒久的な引き上げ措置が法案として通れば、その景気刺激効果は計り知れない。10月21日付の日本経済新聞記事によると、米ゴールドマン・サックスは仮に1.5兆ドルの米減税案が成立すれば、米主要企業のEPSは2018年に7%押し上げられ、米株式相場には一層の上昇余地が生まれるとのこと。言うまでもなく、米減税案の成立は強烈なドル買い材料にもつながることとなろう。

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