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マツダの対話革命「Zoom-Zoom」

ローランド・ベルガー日本法人 代表取締役社長 長島 聡氏

顧客の生の声を活かすシャオミの開発

 このような形で実際に、ユーザーと開発者を結びつけて好循環を生み出しているのが、「中国のアップル」と呼ばれる総合家電メーカーの小米科技(シャオミ)である。

 シャオミはOS「MIUI」や携帯電話の機能を開発する際に、顧客からの生の声を集めてそれをうまく取り入れていく仕組みを活用してきた。それは次のようなものだ。

 まず、ネット上のフォーラムやソーシャルメディアの微博(ウェイボー)を通じて、新バージョンを使った感想、要望、不満、バグなどを「体験レポート」として吸い上げる。こうしたユーザーの声は膨大な数にのぼるが、そこからアイデアをスクリーニングし、どのニーズに対応して開発するかを決めていく。たとえば、身の危険が迫った時や停電になったとき画面を見ないでも操作がしたいという声に対して、画面を長押しすると緊急発信する機能を付ける。あるいは、携帯をなくして探すのに困ったという声には、GPSでスマートフォンの現在地がわかる機能を付ける、といった具合だ。

 このプロセスは週次で回していく。新機能がリリースされるのはたいてい金曜日である。そして翌週の月曜日から次の開発に入り、水曜日にはアップデートや新機能の搭載を予告。木曜日に社内テストを実施し、金曜日に再びリリースする。このようにして、PDCAのサイクルを高速で回しているのだ。

 対応が速いため、「リクエストしたことが実現した」「指摘した問題がすぐに改善された」と喜ぶユーザーが増える。それなら自分もアイデアを伝えよう、頼んでみようというモチベーションが高まる。また、機能の良し悪しを見極める目も養われてくる。ユーザー同士の議論の精度も上がり、開発者が「こんな機能はどうか」と聞いたときに、より現実的で有益な意見が出てくるようになった。

 シャオミは、週次のPDCAに加えて、投票で開発に着手する要望を選ぶといった仕掛けもフォーラムに導入してきた。こうした取り組みが功を奏し、ユーザーからのフィードバック件数は、OS「MIUI」の発表から4年間で1億件以上にも及び、一大コミュニティが形成されている。

シャオミの週次PDCAサイクル

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