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営業力 100本ノック

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デキる営業はなぜ顧客をその気にさせるのか?

東京工業大学大学院特任教授、レジェンダ・コーポレーション 取締役 北澤 孝太郎氏

 営業を科学的にとらえ、体系化して論理的に考えるにはどうするか。リクルートを皮切りに、長年、営業リーダーとして最前線で活用し、現在は大学院での講義や、研修・コンサルティングなどで活躍する著者が営業の本質を100項目にまとめました。第2回ではそこから、顧客をその気にさせる方法に関する4項目を掲載します。

1.顧客をその気にさせる方法を言葉にできますか

●顧客が望むものを知り、それを提供するだけでは不十分

 店舗で顧客を待たず、自ら顧客を訪問する営業マンにとって、顧客をその気にさせることこそ、アプローチでは最も重要な行為です。顧客の動機づけといわれますが、それがないと受注までの段階にはなかなか進展していきません。お店の販売員を想像してみてください。彼らの業績は、顧客の身なりや視線、そして仕草や言葉などを観察し、どれだけ顧客がほしいものを想像できるか、そしてそれを、どれだけ的確に早く顧客の前に提示できるかにかかっています。そこにあれこれと説明する言葉はいりません。言葉を発することで説得するより、ほしいものを目の前に持っていった方が時間が短縮でき、多くのものが売れるという寸法です。

 これをバックヤードにどれだけ早く到達できるかという意味で、販売の「後ろに走るスピード」と呼びます。ところが顧客を自ら訪問する営業マンは、その知識だけでは売れません。応接間の対面では、顧客が何をしたいのか、何がほしいのかを言葉で聞きだすところから始めなくてはいけません。それには、まず、顧客の共感を得て、心を開いてもらうことが必要になります。

●自分が何者か、またあなたにどう役に立てるのかを心を込めて語ること

 顧客の共感を得て、心を開いてもらい、顧客にこうしてほしいといわせるには、まず、我々が何者なのか、私が何者なのかを話し、それを相手に理解してもらう必要があります。そのうえで、自社、また自分は、相手の会社あるいは相手自身に何ができるのかをわかってもらいます。この理解のさせ方がうまいかどうか、また芯を食っているかどうかで、相手の心をどれだけ開かせることができるか、つまり、相手がどれだけその気になるかが決まります。

 ソフトバンクを説明するのに、「携帯電話の会社です」とだけいうのと、「携帯電話だけではなくデジタル情報をありとあらゆる方法で利用いただき、貴社の仕事を最大限効率的にしていただく会社です」というのとでは、まったく違う印象を持たれるでしょう。「ならば、こういうことはできますか」と聞いていただけることが増えるはずです。具体的に役に立てるイメージを持ってもらえます。営業マンは、顧客が何を望んでいるかを知り、それを提供する商品やサービスの説明に加えて、この自分が何者かを語る力量が必要なのです。

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