日本経済新聞 関連サイト

FIN/SUM WEEK 2017 レビュー

記事一覧

地域にどんなエコシステムを作るかが問われる

FIN/SUM WEEK 2017 討論会「フィンテックによって地方創生を実現できるか」より

石丸 九州大の1~2年生が「起業部」という部活動をやっている。野球部やサッカー部と同じように、学生が起業という活動をする部だ。もちろん失敗もたくさん出てくると思うが、学生が既存のカリキュラムにはない新しい世界にチャレンジすることができる。このような取り組みが、起業や失敗のハードルを下げ、おもしろがる空気が生まれると地域は変わっていくかもしれない。

石丸修平氏(福岡地域戦略推進協議会事務局長) 石丸修平氏(福岡地域戦略推進協議会事務局長)

岩田 地域のイノベーションを考える際に、失敗をどう共有するかが重要になってきそうだ。

小松 共感性とリスク許容度は相関関係にある。宮城県の酒蔵で日本酒を海外に売ろうというケースがあるが、酒造りに加え、パッケージのデザインにまでこだわる経営者の熱い思いに共感すると、比例してリスク許容度が高くなる。

五十嵐 学生が「スタートアップはリスクが高い」と言うが、もともと誰もやっていないことをやるスタートアップはリスクが高いものだ。リスクが高いこととビジネスの不確実性は全く別。失敗した事実ばかりを見るのではなく、何回挑戦したかを見るようにしなければならない。

阿部 これからは地域でも補助金重視の考え方は薄れていくのではないか。何かやろうとする際に、クラウドファンディングにより「人もない・カネもない」という状況は改善してきている。だからこそ、もう少し地域に目を向けると日本全体が良くなっていくのではないか。

フィンテックで地方に温かいカネを回す

岩田 社会インパクト投資という社会性のあるカネの回り方を地方でも考えていく必要がありそうだ。デジタル技術でカネに血を通わせるために、フィンテックに期待することは何か。

小松真実氏(ミュージックセキュリティーズ代表取締役) 小松真実氏(ミュージックセキュリティーズ代表取締役)

石丸 従来の投資の世界に加えて、社会的インパクトを評価し実現していく取り組みを行う動きが出てきている。例えば、市民の寄付金や篤志家の援助などを活用して公共性のある取り組みを支援する例だ。また、フィンテックという視点では、福岡発のフィンテック企業であるドレミングの例が参考になる。給与振込を小分けにして、都度払いを行う仕組みを構築しているが、これは銀行口座を持っていない人が多い発展途上国に役に立つ技術で、フィンテックが社会的インパクトを創出できる好例だ。

小松 行政と民間が連携して社会的問題の解決を目指す成果志向の「ソーシャルインパクトボンド」という仕組みがある。根底に成果報酬主義があれば、従来の担保・信用主義ではなく、共感や温かい心でスタートアップが資金調達できる仕組みが可能だ。フィンテックで日本の旧来のカネの流れを変えられると思う。

阿部 温かな地域に温かなカネを流通させようというのは良い傾向で、長野県にもぜひ実現させたい。地方にはカネに換算できない価値が豊富にあるが、やりようによってはカネになるはずだ。フィンテックで温かなカネを地方に回すエコシステムをぜひともつくりたい。

(日本経済新聞社 FIN/SUM事務局)

PICKUP[PR]