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日産、神戸製鋼...大企業の不祥事を読み解く(前編)

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

 9月29日、日産自動車が新車の完成検査を無資格の従業員に行わせていたこと、それらの検査を、提出書類上は有資格者である従業員が担当したかのように偽装していたことを公表したのに続いて、10月8日には、神戸製鋼所がアルミニウムや銅製品の一部で、顧客企業との契約上の仕様を満たしているかのように強度などの性能データを改ざんして出荷していたことを公表した。

記者会見を終え一礼する日産の西川社長 記者会見を終え一礼する日産の西川社長

 日産は、社長が記者会見で是正済みであると説明した後も無資格検査が続けられていた事実の発覚を受け、国内全工場において国内向け車両の出荷を停止した。また、国土交通省の指示を受けて各自動車メーカーにおいて調査を行なった結果、スバルでも、日産と同様の無資格検査と書類偽装が過去から恒常的に行われていたことが明らかになった。

 神戸製鋼の不正は、対象製品の範囲が主力の鉄鋼製品にも及び、納入先が国内・海外含めて約500社に上っている。米司法省が米子会社に対して書類の提出を要求し、欧州航空当局が安全性の確認がなされるまで製品の使用を中止するようメーカーに勧告するなど、国際的な問題にも発展している。

「カビ型問題行為」の恐ろしさ

 昨年8月、本連載「『カビ型行為』こそが企業不祥事の『問題の核心』」で、鉄鋼メーカーが水圧試験のデータを偽装していたことが発覚した「ステンレス鋼管データ捏造事件」や、マンション建設の際のくい打ち工事のデータ偽装が業界全体に蔓延していたことが明らかになった「マンションくい打ちデータ改ざん事件」などの重大な不祥事事例を紹介した。それはいずれも、「カビ型行為」であり、通常のコンプライアンス対応による発見が困難であること、組織内での自主的な自浄作用を働かせることが難しいことなどを指摘。カビ型行為の「恐ろしさ」を強調した。

 日産の無資格検査問題も、神戸製鋼の品質データ改ざん問題も、長期間にわたって継続しているという「時間的な広がり」と、組織内の多数の人間がかかわっているという「人的な広がり」を持つ「カビ型問題行為」の典型だ。日産の問題と同様の無資格検査と書類偽装が過去から恒常的に行われていたことがスバルでも明らかになったことからも、「カビ型」だったことが裏付けられていると言えよう。

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